2004年(平成16年)9月議会 一般質問

2004年9月8日(水)
                          金 井 忠 一

1 問

 通告に従い質問してまいります。
最初に、市町村合併と市長の政治姿勢について伺ってまいります。
5月7日に開催された上田市議会臨時会では、上田市・丸子町・真田町・武石村合併協議会の設置と、それに伴う補正予算が審議され、それぞれの議員から
反対と賛成の論議がされ起立多数により可決されました。
 私は反対討論の中で、「上田市との合併相手である三町村においては合併に対する状況がまったく流動的であります。その結論を見るにも、数カ月かかる状況であります。このような中での見切り発車的な法定協議会の設置は時期尚早である。」と述べました。
 今日、真田町においては、合併を進める町長に対し、民意軽視だとしてリコール・解職要求への署名活動が9月5日まで行われました。一方、町長名による「合併の道が正しいと判断している」とするメッセージも配布されております。また、議員の中からは「解職要求は町内を混乱させるばかり、慎重な対応を」と訴える文書が配られるなど、混沌としております。
また、依田窪4町村の中には三つの法定協議会ができ、それぞれの自治体が二つの法定協議会に同時に参加する異例の事態となっております。その上、依田窪4町村の合併を目指す住民が集会を開き、一方、上田市を含む大型合併を目指す住民が、市町村合併推進協議会の設立をめざして運動を始めております。
様々な思惑が錯綜(さくそう)しており、なにがなんだかまったくわかりません。
まさに、上田市が合併協議を重ねている三町村の状況は、まったくの混迷を深めているのであります。
そこで伺いますが、現在の丸子町、真田町、武石村、及び依田窪地域の現状をどのように捉えているか伺いたいと思います。

 次に、対等合併について伺います。
 合併問題は、各自治体がその地域の住民のくらしや利益、地域の将来と住民自治にとって、どういう関係にあるかを、地域の具体的な状況に照らして明らかにすることが必要であります。また、住民の意志と市町村の自主性が尊重され、お互いの問題点などを時間をかけて対等に十分に出し合い、そのうえで本当に合併することが住民の利益にかなうのかが重要であります。
そこで伺いますが、現状のような混乱を繰り返す方法が、市長の言う新設・対等合併のあり方なのか伺いたいと思います。
 
 次に、新市の名称について伺います。
 上田市の中では、合併に対する関心はあまり高くありません。そのような中でも、合併後、上田市がどのような名前の市になるかは、現在上田市に住んでいる市民にとっては最も関心のあることのひとつでもありです。今日、全国の自治体の中において、合併協議会の解散や離脱が相次いでいます。名前がどうなるかによって合併が破談になるところさえも出てきております。
 つい最近では、埼玉県の川口市・蕨市・鳩ヶ谷市では三市の合併が、最後になって新市の名前が公募で圧倒的多数を占めた川口市に決まらず合併が破綻しました。合併協議会は9月末で解散することになり、三市の間に大きなしこりを残したと報道さております。
 そこで伺いますが、上田市の合併協議の中では新市の名前は「各町村の事情に配慮し、継続協議とすることが了承された」とし、先送りになっております。なぜ決まらないのか伺いたいと思います。

次に、上田市の地域振興について伺います。
合併協議の中では、分権型で、旧町村単位に地域自治センターを設置するとか、地域住民の意見を反映して、住民が積極的にまちづくりにかかわる仕組みを作るとか、バラ色のことばかりがいわれています。しかし、現在の塩田支所や川西支所、豊殿支所の経緯や現状を見ていると果たしてそうなのかと思わざるを得ません。今までの支所の問題点はオブラートに包んでいて明らかにされていません。これでは展望が見えません。分権型で合併して地域自治センターを設置すればうまくいくのであれば、なぜ現在の上田市において行わないのですか。他町村のことでなく、上田市が現在の支所を中心に、どのような地域振興を目指しているのか、市民がわかるように説明していただきたいと思います。

次に、上田市民の意向調査について伺います。
合併論議がされて久しくなりますが、上田市においては他の町村のような盛り上がりがありません。
5月の臨時議会において、市長は「昨年11月に行った市民意向調査では、回答をいただいた皆さんの約66%の方が賛成の意向を示され、合併の必要性についておおむねご理解をいただけたと判断いたしました。」述べております。
しかしその内容は、市民意向調査といっても、6,000人を選んで調査を行い、3,330人の回答で賛成・どちらかというと賛成という人が2,192人であります。その割合は、20歳以上のわずか2.2%であります。
これをもって、おおむねの皆さんのご理解をいただいたとするには、あまりにも無理があるといわざるを得ません。
しかもこれは、昨年の11月の調査の結果であります。激しく変化している昨今の他町村現状からするならば、現在の時点における民意の集約としては、おおむねの理解をいただいていると判断する根拠に乏しいといわざるを得ないのであります。
そこで伺いますが、今日の激動する状況の中での市民的論議の現状と、到達点についてどのように捉えているのか伺います。
また、おおむね理解をいただけたと判断しているという根拠の有効性、客観的裏づけは現在もあると思っているのか伺います。

次に、市長の選挙公約について伺います。
5月臨時会において市長は、「市政を担当させていただいて以来、現在の枠にとらわれない新生上田の都市創造をめざして、合併の推進に積極的に取り組んでまいりました。将来を見据え4市町村が協調して「日本のまん中 人がまん中 生活快適都市」を目指して進んでいくため法定協議会へ移行し、さらに論議を深めてまいりたいと考えております。」と合併に向けての思いを述べております。
そこで市長に伺いますが、今日の情勢の中でどのようなリーダーシップを持って選挙公約を果たすのか、その考えを伺いたいと思います。


次に、街づくりについて伺ってまいります。
 6月の議会でも質問をいたしましたが、引き続き伺います。
 全国各地で、多くの開発問題や環境問題が起きております。現在起きている事態は、都市計画法や建築基準法などの街づくりに関係する法律の運用だけでは、地域の環境の保全や街づくりはできないことを明らかにしております。
 上田市でも、農村地帯にできたスーパーなどの大型店、パチンコ店、開発許可に触れないような転用による虫食いの宅地化、緊急車両も入れない行き止まりの転用による開発、大型店による24時間営業の交通・環境問題、大型アパート・マンションによる景観問題、中心商店街の衰退による地域の崩壊、身近で利用していた地域のスーパーの突然の閉鎖など、大きな問題が起きてきております。現行の都市計画法体系システムの中での規制には限界があるのであります。
 一方、地方分権の流れの中で、上田市でも各地域の振興会や自治会等による、地域のマスタープランの策定や、市民参加による地区街づくり、小さな公園や広場、花壇作り、ホタルの里作り、各種の地域の手作りのお祭りなど各種行事が数多く行われてきております。
 新しい地域づくりが、行政との協働で始まってきております。このような街づくりを、行政がどのように応援できるかが今日重要になってきております。
 そこで、最初に、開発における現行法の限界と問題点について伺います。
 現在、開発行為等が行われるうえでは、都市計画法、建築基準法、農振法、農地法、大店立地法など、多くの法律が適用され運用されて、指導がされております。 しかし、各課では担当の部門のことだけがバラバラに指導がされているだけで、調和のとれた均衡ある街づくりと言う観点が欠けている現状があります。
 そこで伺いますが、調和のとれた街づくりという面から見て、現行法の中での限界と問題点について、上田市ではどのように考えているか伺いたいと思います。

 次に、各地域で行われている「地域づくり」について伺います。
 多くの地域や自治会では色々な「地域づくり」を実践しております。問題はその実態を行政がきちんとつかんでいるのかということです。
その上で、上田市都市計画マスタープランや地域福祉計画等との整合性をどのように図り指導や援助がされているかということです。
そこで伺いますが、地域の街づくり計画は上田市都市計画マスタープランではどのように位置づけられ、どのような整合性が図られて実施されているのか伺いたいと思います。

次に、まちづくり条例の制定について伺います。
現在上田市の中で、大型パチンコ店の出店や8月のイオン等の大型店の開店、大型マンションの建築等により、地域の教育環境や交通問題、景観問題などの開発問題がおきてきております。
どの問題も行政全般にかかわる問題であるが、現状はその最初の窓口になる担当部局のみが苦労をしている状況があります。
 安心して暮らせる、安らぎのある住環境を維持し、創造するために、土地利用や建築等に関する手続きを定めることにより、市民、事業者及び市の協働による望ましいまちづくりを計画的に推進するために、全国の自治体では最近、さまざまな種類のまちづくり条例が制定されております。
 そこで伺いますが、上田市でも独自の条例制定を検討すべき時期であると思われるが、その考えを伺い1問といたします。

2 問

 合併について再度市長に伺います。
今回の合併論議は、4町村の各自治体や住民に大きな混乱と、深い怨念や取り返しのつかないような心の痛みを生じさせ、平穏に行政運営がされてきた自治体や住民の中に大きなあつれきが生まれてきております。
 その上職員は、混乱しどうなるかわからないような合併のために、膨大な事務のすり合わせ協議におわれ、大きな労力と経費を費やしているのであります。  本来の仕事は残業や土日出勤で間に合わせているような状況があります。
時間外手当は無くなり、今議会にも合併によるものとして約2千万の時間外手当の予算が計上されております。
 期限までに合併しなくてはならないというだけで、想定スケジュールに基づいて強引に事務的に仕事が進められている。上田市の市民には、いま進められている合併の事務すり合わせにより、いままで受けていたサービスがどのようになるかはわかりません。まして、膨大な事務内容をどのように理解をしていいのかまったくわかりません。まさに、数年前、広域連合ができたときと同じような状態が進行しているのであります。
 そこで伺いますが、このような状況は、まさに「合併ありき」のやり方ではないかと思いますが、市長の見解を求めたい。

次に、丸子町と武石村は二つの法定協議会に参加し、依田窪地域の協議会では合併後の新自治体を「市」にするために、10月には新市の名称の公募をしていくという報道がされております。上田市との合併も進めるが、もうひとつ新しい市も作るということである。二股かけた審議がすでに始まっているのです。これでは、どちらかの法定協議会の論議は、まったく空想的なものではないですか。こんなことが、住民の貴重な税金を費やして、行われていることはまったく理解しがたい事態であります。
また、今後行政運営していくことが困難であるといっている自治体との合併が、はたして対等合併でありうるのですか。「寄らば大樹の陰」という考えで、大きな自治体と一緒になれば安心というものではありません。
対等合併といえば、いかにも民主的なようできいたところはいいです。しかし、合併相手の町村の動向について、関心を持ち心配してみているなどということだけで、どこに12万市長としてのリーダーシップが発揮されているのか、私にはまったくわかりません。
昨今の状況を見ていると、市長が言うところの対等合併は、各自治体に現在のような無用な混乱を生じさせているだけないかと思われるのですが、4市町村合併協議会の会長たる市長の所見を伺いたいと思います。
次に、新市の名称は、市民が直接選ぶのではなく、法定協議会で28人の委員で決定することとされております。
そこで伺いますが、上田市民は現行の上田市以外の名称になった場合、納得すると考えておられるか、市長に率直に伺いたいと思います。

次に、市民の意向調査についてですが、三町村では色々な運動やアンケート、住民投票が行われております。激変している状況の中で、上田市も市民の声をどう聞き取るかが大事であります。新たなアンケートや住民投票を実施する必要があると思われるが、その考えと、実施時期について伺います。

次に、選挙公約についてであります。
選挙公約は政治家にとっては命ほど大切なものであります。
母袋市長は、上小地域全体の合併を掲げ当選いたしました。しかし現実は相手のあることで無理になりました。現在は1市2町1村での枠組の合併を目指しております。
その2町1村もいまや民意は錯綜しております。果たして、自治体がまっぷたつに割れているような現状や、首長や議会と住民の意思が一致していないような中で、合併協議を続けていくことは理にかなっているのかはなはだ疑問であります。そこまでして、新設・対等合併をする必要性がどこにあるのでありましょうか。
そこで市長に伺いますが、合併相手の自治体の中はどうなろうとも、ひとつの自治体でも合併さえすればそれで自らの選挙公約や、政治責任を果たしたことになると考えているのか伺いたいと思います。

この際、無用な混乱を生むような合併はやめて、上田市独自で、輝くような自治体を、住民の皆さんと協働して創り上げるように力を注いだほうがいいのではないですか。
市長の所見を伺いたいと思います。

次に、まちづくりについてですが、6月議会でも申しましたが、現在、上田市の機構の中には、上田市を網羅するような問題について、土地利用を含めての調整する実質的な部門がありません。
全体を機敏に調整できる調整担当部門の確立が必要と思われます。
そこで伺いますが、全体を統括して調整することができる参事級の担当者を配置した部門の設置について、その考えをお聞きして、2問といたします。
3 問
合併についてでありますが、真田町では町長ルコールの住民投票が行われれば数ケ月は混乱する。もしかしたら、町長選挙のもなるかもしれない状況があります。丸子町では、合併のための住民投票を町長は示唆している。また、「二つの法定協議会に重複加入しているのは法の精神に反する」とする住民監査請求も出されております。住民同士がいがみ合うような状況になっても、合併は進めていくのでしょうか。
うまくまとめていける自信と腹構えが市長にはあるのでしょうか。その決意を再度伺いたいと思います。

調整担当部門について、ただ、検討していればいいものではないです。市長が言うスピーデーな対応をするためにはそれを裏図ける組織体制がなければダメです。
総合的に検討して結論を出せないから多くの問題を抱えていて仕事が進まないのであります。
市長の決意を伺い質問を終わります。