2004年(平成16年) 12月議会 一般質問

2004年12月8日(水) 

1 問
通告に従い質問してまいります。
最初に、介護保険制度の見直しについて伺ってまいります。
来年4月に5年目の見直しを迎え、政府は来年の通常国会に法案を提出する予定です。
この数年間、社会保障は連続改悪がされてまいりました。ご承知のとおり年金法が改悪され、本年10月から厚生年金の保険料が上がりました。さらに来年からは国民年金保険料も、毎年毎年上がり続けることになってしまいました。
2000年に介護保険利用料が1割負担になりました。2002年にはお年寄りの医療費負担が定額で1割および2割負担になりました。2003年にはサラリーマンの医療負担も2割から3割になりました。
生活保護の母子家庭加算制度さえも、来年度廃止されようとしております。
また、高齢者の医療制度について、高齢者だけを独立させた保険制度をつくり、すべてのお年寄りから保険料を徴収しようとする検討もされております。
病気やケガの診療や薬も、手術もすべて金次第という混合診療の解禁も論議がされています。まさに、社会保障制度を大幅に大改悪させようとしているのであります。
その上に、2005年度税制改正で定率減税を2年間で段階的に廃止することが検討されております。この不況の中で、年間3兆3千億円もの新たな大増税がされようとしているのです。
そして極めつけは、2007年から消費税の大幅増税により国民負担を大幅に増やすことであります。

このような情勢の中で、政府・厚生労働省は今、介護保険の改正の作業を急いでいるのであります。
そこで検討されていることは、もっぱら介護への国の財政支出を抑制するために、高齢者のサービス利用を制限し、国民負担をいっそう増やす大改悪となっています。
その内容は、第1に、在宅介護サービス利用を制限し、多くの高齢者から、生活の支えとなっているホームヘルパーなどの介護サービスを取り上げようとしています。
第2に、介護サービス利用料を、現在の1割負担から2割、3割に大幅な値上げをしようとしています。
第3に、現在40歳以上からの保険料徴収を20歳からにし、介護保険と障害者の支援費制度を統合することも検討されています。
第4に、特別対策として実施してきた、施設と在宅サービスの低所得者対策を来年4月に廃止する方針です。
その上、老人保健事業の健康診査のうち65歳以上の検診などを再編して、介護保険制度に組み入れることを検討しています。国と自治体の責任である、公衆衛生や高齢者福祉を介護保険の狭い枠内に封じ込め、社会保障における国の責任を後退させ、社会保障までも「負担なければ給付なし」の保険システムに組み替えていこうとしているのであります。まさに、福祉の大後退が行われようとしているのであります。
  
そこで第1に、介護保険制度見直しと上田市の基本的考え方について伺ってまいります。
現在の介護保険制度の最大の問題点は、少ない年金の高齢者からも保険料は強制的に「天引き」されるのに、いざ使おうとすると1割の利用料負担があって必要と認定されたサービスさえも十分に受けられない上に、特別養護老人ホ−ムなどの施設が足らなくて、施設に入りたくてもいつまでも待たなければ入れないという現状になっていることです。
まさに社会保険制度の根本にかかわる問題であります。介護保険制度を見直すのであるならば、現在のお年寄りや利用者の状況をつぶさに見て、お年寄りがいつでも、どこでも、お金の心配がなく安心して利用できるように改善すべきであります。
そこで市長に伺いますが、今度の国の見直しの動きをどのように捉えているのか率直に伺いたいと思います。

次に、5年前の介護保険導入のときは、前市長の「今までの福祉を後退させない」という決意と姿勢の中で、事務担当者も色々な角度から施策を検討し、県内でも先進的な施策を多く行ってきました。利用者や家族の皆さんには大変感謝されております。
そこで市長に伺いますが、今度の改正に当たっての市長の姿勢について伺いたいと思います。

第2に、上田市の介護保険の現状について伺ってまいります。
簡潔明瞭に、お年よりの皆さんや市民の皆さんにわかるように答えてください。  
 最初に在宅サービスの利用状況と市独自の低所得者対策について伺います。 
在宅サービスを受けている皆さんの、介護度別の支給限度額に対する平均利用率は、44.4%であります。すなわち、介護が必要と認定されても年金が少ないから、お金を払える範囲内のサービスしか受けていないのであります。保険料と利用料の1割負担が重荷で、使いたくても使えないで我慢しているのです。その点で現在、上田市が行っている、低所得者対策としての利用料の軽減は本当にありがたいことであります。
そこで伺いますが、在宅サービスの内容と、現行行っている上田市の低所得者対策としての利用料軽減の内容と利用状況、助成額等について伺いたいと思います。

次に、要支援、要介護1の現状について伺います。
今度の介護保険の見直しでは、要支援、要介護1の生活援助が標的にされております。週に1回ヘルパーさんが来て家事の手伝いをする。週に1回デイサービスに出て、引きこもりにならないように周りのお年寄りと交流の場を持つ。こういう介護サービスが介護保険では一番利用が広がっているのであります。 
それを目の敵にして使わせないようにしようとするのです。ヘルパーさんは家事援助だけでなく、家族の健康や状況も把握し、総合的なケアもしているのであり、介護をしている家族の精神的な支えになっているのであります。
そこで伺いますが、要支援・要介護1の皆さんのサービス利用の状況、並びに効果についてどのように捉えているのか伺います。 

次に、在宅サービスを受けている皆さんの家庭環境について伺います。        
市内にある施設の調査では、要支援・介護1が46.9%で約半分、年齢は80歳以上が56.8%、世帯構成は、一人暮らしが34.2%、高齢者と二人暮らしが21%、障害者と同居が10.5%で、全体の6割以上が家庭での介護力がない状況でありました。
 そこで伺いますが、上田市の在宅サービスを受けている皆さんの家庭環境はどのようになっているのか伺います。

 次に、特別養護老人ホームについて伺います。
多くの家族の皆さんから相談を受けるひとつに施設入所の問題があります。病院を退院しなければならなくなったが、入る施設がどこにもなくよわって
いるという相談です。ケアマネージャーに相談してもどこも一杯で見つからないということです。そこで伺いますが、上田地域の特別養護老人ホーム等の施設の入所状況についてはどうなっているのか伺いたいと思います。

次に、施設の利用料の現状について伺います。
今度の見直しでは、施設入所者に「ホテルコスト」と称して居住費や食費の
負担もさせようとしているということであります。金額は1か月約12万円から15万円で、いままでの2倍以上になると見込まれています。これでは年金が月2万や3万円のお年よりの皆さんはもとより、国民年金で生活している人は、介護保険料は天引きされていても施設には入所できないことになってしまいます。
このままの状況で予定されている見直しが行われれば、現在入所しているお年寄りの皆さんでお金を払えない人などは施設から追い出されてしまいます。 
お金がない人や家族で看てくれる人がいない人はどうすればいいのでしょうか。行く場所がなくなってしまいます。そこで伺いますが、現在施設に入所している皆さんの施設利用料はいくらなのか伺います。
                   
次に、待機者の人数と家庭状況について伺います。
施設に入れないで家庭で介護をしている中で、老老介護で疲れてしまい殺してしまったという報道が多くされます。また、一人で長い期間看ていて心身ともに疲れ果ててしまい、崩壊しそうな家庭もあります。上田市において、待機している家庭の状況はいったいどうなっているのか心配であります。
そこで伺いますが、入所希望者で家庭において現在待機している人はどのくらいいるのか伺います。併せてその家庭環境について、上田市ではどのように把握しているのか伺いたいと思います。

次に、介護保険料について伺ってまいります。
最初に、介護保険料の滞納状況は、平成15年で520人、滞納金額は1,478万円ということですが、滞納している人は、年金が月1万5千円以下のお年寄りの皆さんであります。
そこで伺いますが、滞納している人はなぜ滞納になってしまうのか、その理由について伺いたいと思います。

次に、減免制度の内容と活用状況について伺います。
上田市で低所得者対策として実施している介護保険料の減免制度の内容と、その活用状況について伺いたいと思います。

次に、平成18年4月から実施予定である介護保険制度の見直しをしていく上での、上田市における今後の事務的手順について伺いたいと思います。


続きまして、上田市の土壌・地下水汚染について伺って参ります。
 本年5月と10月に市内の二つの事業所が自主調査を実施したところ、土壌・地下水から環境基準を超えた揮発性有機化合物が検出されたという報告が上田市にされました。  
一方、岡谷市の事業者は油漏れや、六価クロムの検出を確認しながら水質汚濁防止法に定められた県への報告を怠り、県と市が立ち入り調査したとの報道もされております。
そこで、第1に伺いますが、報告を受けた二つの事業所は、浄化対策やその後の地域住民への報告はどのようにしているのか伺います。
なお、住民への報告は、自治会がお願いしなければ行わないものなのか合わせて伺いたいと思います。

第2に、市内には有害汚染物質を使用している事業所、施設はどのくらいあるのか伺います。

第3に、行政の対応についてですが、今回の件について上田市では他の同じような事業所への指導をどのようにしたのか伺います。なお、その後、自主的に調査した事業者はあるのか伺いまして1問といたします。


2 問
介護保険制度の見直しについて再度伺います。
現在上田市では、サービス利用料の8種類軽減や保険料の減免、介護慰労金の支給などさまざまなすぐれた各種施策を実施しております。介護サービスの市単独の軽減策を受けている人は、平成15年度で838人おります。保険料の減免している人は、平成16年9月末で50人おります。
介護慰労金は、上田市では、要介護1、2で痴呆のお年寄りを看ている50人の家族に支給されております。また、要介護3から5までの家族には683人に支給しております。家庭で苦労しながら介護している家族の皆さんの物心両面の支えになっております。
いったいこのようなお年寄りや家族に対してばっさりと福祉の切り捨てをするのかどうか、現行の積み上げてきた優れた福祉水準を守るのか、国の言うとおりに福祉の後退をさせるのか、市長に、その決意を具体的に伺いたいと思います。  
  
次に、高齢者介護課の体制について伺います。
介護保険制度は、そもそも社会全体で高齢者を支えあっていくということで制度ができたものであると思うのであります。
しかし、介護保険制度になってから、何でも施設やケアマネージヤー任せで、自治体として高齢者の実態をきちんとつかむことができなくなっているように感ずるのであります。
その原因は、さまざまありますが、私は市役所高齢者介護課内にある基幹在宅介護支援センターが、市内6ヶ所の地域にある地域在宅介護支援センターと日常的に連携を取り合いながら文字どおり基幹になるという、その任を果たしきれていない現状にあると思います。
現在のように職員が兼務の状態ではいくら職員ががんばろうにも、所詮それは無理があるといわざるを得ません。
社会保障審議会の介護保険部会報告では、今回の介護保険制度の見直しは、総合的な介護予防システムの確立や地域密着型サービスの創設、(仮称)地域包括支援センターの整備など新たな大幅な改正も予定されており、現行の高齢者介護課の職員を少し増員する程度ではとても事業を行えないように思えるのであります。
そこで市長に伺いますが、来年からの介護保険見直しに当たって、高齢者介護課の体制を抜本的に強化することが必要と思うが、市長の見解を伺いたいと思います。
次に、上田市の土壌・地下水汚染について再質問いたします。
今回の事業所のひとつは、会社の行動指針で地球環境保全につとめると明示し、1998年環境マネジメントシステムを構築し、環境方針を「地球化環境の保全を重要課題と認識し、企業活動を通して、また地球市民として自らの生活の場において、人々の健康維持と地球環境の保全に積極的に取り組みます」と定めている県内では一流企業であります。
 そのようなところでさえ、地域住民に対する心遣いや対応はまことに不十分であります。
今の答弁を聞いているとまったく不安でたまりません。市内にはすばらしい理念の下にISOを取得し、環境に配慮することを掲げている事業所が多くありますが、土壌や水質の検査をしているのか地元に自主的に報告をしているのかどうなっているのかまったくわかりません。
 住民は、市内には今回の事業所と同じような事業所が一杯あるのに、どうなっているのかわからないことが不安なのであります。
会社や事業所が法に基づいて安心だということと、住民が安心できることは次元が違う問題であります。住民の不安をなくし、安心・安全な環境対策を実施することが重要です。
とりわけ市長は環境問題については、施策の基本に掲げて市政運営をおこなっております。上田市は平成13年4月に「環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民が健康で安全かつ文化的な生活環境を営むことができる良好な環境の確保に寄与することを目的に」上田市環境基本条例を制定していますが、条例の基本理念に基づく指導については、今後どのように行っていくのか市長に伺いたいと思います。


次に、子育ち支援事業について伺ってまいります。
第1に、「学童保育どんぐり」の神科小学校への移設について伺います。
 本、12月議会に130万円の補正予算が計上されております。昨年、学童保
育が公設民間委託になりました。しかし、応募者が多くなる中で場所の確保が
どの学童でも頭の痛い問題であり、運営委員会や保護者の心配の種でありまし
た。今回はじめて学童保育所が神科小学校内に移設されるということは、一番
の問題がまずひとつ解決することにもなります。
私は、今回の行政の対応は今までになく早く、まことに積極的な予算である
と思っているところであります。今年の4月から、放課後児童対策を教育委
員会に一本化し、子ども教育課や子育ち支援係を作った成果でもあると思い
ます。
 そこで伺いますが、今までの経過と、4月開所に向けてどのような取り組みをしていくのか伺いたいと思います。

第2に、昨今、児童に対する色々な悲しい事件が発生、報道されております。
子どもも家族も地域も、安心できるような環境作りが緊急に求められており
ます。
そこで伺いますが、現在上田市には児童館・児童センター、学童保育所、こども館とそれぞれ特徴を持った施設があります。
それぞれの現状と今後の方向性について、教育委員会としての考えを伺いたいと思います。
 
 第3に、私は、両親が働きながら安心して子育てができるには、現在のこど
も館について地域の皆さんや保護者の皆さんと十分話し合いをして協力を得な
がら、特徴ある地域の学童保育所に充実させていくことが必要かと思います。
そこで伺いますが、学童保育所をこれから新築する予定の各小学校敷地内や
体育館、近くの公民館などに設置すべきであると思いますがその考えを伺いまして2問といたします。

3 問
子育ち支援についてですが、神科小学校のケースをモデルとして、しっかり検証して研究していくということであるが、今後上田市では、小学校の校舎の改築や体育館、公民館の改築もあるわけです。施設を作ってからでなく、前もって地域の皆さんと協議して行ってもらいたい。これからどの地域で改修等が予定されているのか伺いまして私の質問を終わります。