6月15日(水)

2005年(平成17年) 6月 一般質問   

金 井 忠 一

1 問
通告に従い順次質問してまいります。
最初に、介護保険について伺って参ります。
 介護保険法案が現在国会で審議されております。改正の特徴のひとつは、今までの訪問介護の家事援助やデイサービスの利用を厳しく制限するというものです。
 そのために、「新予防給付」というものを創設し、お年寄りの皆さんに筋肉トレーニングをやってもらったり、歯磨きのやり方などの口腔ケアや栄養改善指導を行うというものです。対象は、現在要支援と要介護1の認定を受けている人の7割から8割。上田市で言えば1,300人くらいになり、現在、居宅介護サービスを受けている人の半分にもなります。
 もうひとつは、特別養護老人ホ−ムなどの施設入所者とショートステイの利用者に、新たに居住費および食費を負担させることになります。
また、通所系サービスの食費も保険給付の対象外にし、全額自己負担にするというとんでもない内容であります。しかも、他に先駆けて今年10月実施予定であります。
そもそも、政府は、介護保険制度の導入により介護の社会化を目指すといってきました。自ら新たに介護保険料を払うことにより、施設でも在宅でも安心して介護を受けることができる制度になると思っておりました。しかし今度の改正ではサービス費用の抑制を図り、個人負担を増やしていくことをその中心にしています。介護保険の改善ではなく、まったくの改悪であります。
 現在、65歳以上の高齢者の介護保険の保険料は、有無も言わさず年金から天引きされております。その上、サービスを受ければ利用料の1割を負担しております。
それは、月年金が2万から3万円の低所得のお年よりの皆さんにとっては重い負担であります。お金がないから、サービスも十分に使えず、我慢しているのであります。
 加えて部屋代と食費も負担ということになれば、低所得のお年寄りの皆さんは施設利用ができなくなり、入所している施設から出なければならなくなります。
そこで伺いますが、高額な利用料を負担できない低所得のお年寄のみなさんに対する対応はどのようにするのか伺います。

次に、基幹在宅介護センターと在宅介護センターについて伺って参ります。
現在、基幹在宅介護センターは市役所内の高齢者介護課内にあります。
一方、在宅介護支援センターは市内6ヶ所の病院やデイサービスセンターなどの施設内にあります。
そこで第1に伺いますが、基幹在宅支援センターとそれぞれの在宅支援センターは、どのような連携をしながら運営されているのか伺います。

第2に、現在の在宅介護支援センターの体制で、地域における高齢者を網羅しながら運営がされているのか伺います。

次に、地域包括支援センターの創設について伺います。
法案では、各地域に保健師か経験のある看護師、高齢者虐待をはじめ各種相談にのる社会福祉士、介護が必要な人の利用計画づくりを応援する主任ケアマネージャーの3人を常駐させる地域包括支援センターを創設することになっております。
そこで伺いますが、どこの部署が担当し、来年4月から実施できるのか伺います。

次に、地域密着型サービスの創設について伺います。
今度の法案の重要な施策のひとつであります。小規模多機能型居宅介護、認知症高齢者グループホーム、認知症高齢者専用デイサービス、夜間対応型訪問介護、小規模介護老人福祉施設、小規模介護専用型特定施設などの運営があります。そして、市町村が事業者の指導、監督権限を有することになっています。
そこで伺いますが、市のどこの部門で担当し、来年4月から実施がされるのか伺います。


次に、国民健康保険税の値上げについて伺います。
定率減税の廃止によるサラリーマンの所得税、住民税の負担増や、高齢者に対する年金課税が連続的に強化され、増税が介護保険料や国民年金保険税の値上げに連動して「雪だるま式」に膨らんできております。
多くの国民や高齢者は、財布の中身とにらめっこしながら介護や医療を受けるようになってしまいました。
今回の上田市の国民健康保険税条例の一部改正は、まさに連続的な国民負担が行われている中での国民健康保険税の値上げとなります。
平均引き上げ率11.9%、年間一人あたり平均13,470円の大幅な値上げであり、一人当たり平均年額95,523円の保険税となります。
このような中で、第1に、国民健康保険の保険税滞納者の状況について伺って参ります。
平成15年度の滞納は7億9千3百万円です。約8億円に達しているのであります。収納率は78.3%で、危機的な状況であります。国民健康保険税が高くて払いたくても払えない現状があります。最高限度額は年61万円となっております。
そこで伺いますが、上田市における滞納の内容や理由など、その特徴について伺います。

第2に、保険税の減免制度について伺います。
減免制度はふたとおりあります。ひとつは、国が適用基準を決めて補助金も出している「法定減額」制度で、現在上田市も実施し6割、4割の軽減を行っております。
もうひとつは、自治体が条例などで対象者と減免割合を決める「申請減免」制度であります。全国でも多くの自治体が実施してきております。
そこで伺いますが、上田市では法に定められた「申請減免」制度についての実施について、どのように考えているか伺いたいと思います。

第3に、一般会計から国保会計への法定外繰り入れについて伺います。
私は、今回の値上げについて、国民健康保険制度の安定的や運営について、合併後を含めての長期的な展望の上にたって審議検討された結果なのかはなはだ疑問とするところであります。
これ以上国民健康保険税が高くなれば、さらに滞納に拍車がかかるような状況があります。今でも払いきれない人の分はただ滞納として積みあがっていくだけの悪循環に陥るのではないかと思います。
そこで市長に伺いますが、一般会計から国保会計に繰り入れを行い、引き上げ率をできるだけ下げ、国保制度の安定的な運営を行う必要があるのではないかと思いますが、その考えを伺います。

次に、上田市の財政状況について伺います。
国の三位一体の改革の中で交付税の縮減等により、財政状況が厳しいことは全国どこの自治体でも同じであります。
一方、上田市の一般会計の決算の収支状況では、平成15年度は約9億円余の繰越金がありました。過去5年間で最も大きい額となっております。16年度はさらに増えることが予想されております。
今回提案されている、国民健康保険税の引き上げによる医療費分の増収額は約3億円であります。その一方で保険税の滞納は年々確実に増えており、平成15年度は約8億円となっております。平成11年度と15年度の収入未済額を比較すると、約3億6百万円余増えております。今後は1年で8千万から1億円も増えていくような現状であります。
これでは保険税が今回の引き上げにより、3億円の増収になっても実質は2億円余にしかなりません。
そこで伺いますが、上田市の財政状況は厳しい財政状況であることは理解できます。しかし、9億円を超えるような繰越金があるのであれば、国保事業に繰り入れできないような危機的な財政状況ではないと思います。
現在、上田市は国保会計に繰り入れするだけの余力・体力はあると思われます。
財政部長の見解を求めたいと思います。

第4に、国への働きかけについて伺います。
県内の自治体では、すでに6割以上の自治体が国保会計は赤字となっております。今後さらにその傾向が強まるものと推察できます。
このような中で多くの自治体では毎年のように国保税率が引き上げられ、払いたくても払えないような高額な保険税の状況になり、滞納は増える一方であります。
その原因のひとつに国が、1984年・昭和59年に医療費部分の国保負担割合を45%から38.5%に引き下げたことにあります。
そこで市長に伺いますが、国民健康保険事業を守っていくためにも国への働きかけを根ばり強く行うことが必要であると思われますがその考えを伺います。


次に、国立病院機構「長野病院」について伺ってまいります。
先日、足立議員からの質問もありましたが、さらに伺います。
2004年度からの研修医制度の変更により長野病院の医師数が何人も減り、これまで受け入れてきた深夜の全身麻酔を要する重症救急患者の受け入れに影響が出ることが予想されております。また、外来診療日が減る科もあるような状況になってきております。
長野病院では、医師や看護師の皆さんの献身的なご努力の中で、基本的には現状どおりの救急患者の受け入れについての体制は維持していくとのことであります。しかしながら、医師の減少についてなど現在の長野病院に対する住民不安は広がっております。
ここに来て、救急車で長野病院に行った人が、他の病院に転送されるケースも出ております。
しかも、佐久病院など三次救急医療機関ではなく、普通の病院への転送であります。なぜ回されるのかわからないと、本人や家族からも不安の声が出ております。
そこで第1に伺いますが、上田地域の救急医療体制について、長野県との連携と協議はどのように行われているのか伺いまます。

第2に、市民病院について伺います。
上田市において、24時間いつでも安心してかかれる病院の建設についての論議が過去に高まったことがあります。しかし、その後長野病院の建設等によりその機運は低くなっておりました。一方、今日の長野病院の医師数の減少という中で市民病院建設への思いや期待も高まってきております。
そこで伺いますが、市長は市民病院の建設についてはどのような認識を持っているのか率直に伺います。

第3に、長野病院への上田市としての援助について伺います。
先日長野病院に伺い、院長、副院長、担当医師や事務長と懇談をし、具体的な支援策等について要望などを伺いました。
長野病院は上田市民にとっては入院や手術が必要な患者の、中核的な市民の二次医療機関の病院であると思います。医師数の減少により二次医療機関として、今までのような受け入れができないのであるならば、医師の確保について上田市としても具体的な努力をすることが求められております。
医師を上田市が雇用して病院に派遣するとか、長野病院に勤めていただける医師を紹介することなど考えることも必要ではないでしょうか。
そこで伺いますが、医師の確保等の財政的な支援についての上田市としての考えについて伺います。

次に、佐久病院に配置されるドクターヘリの導入に対する対応について伺います。
長野病院の医師数が減少する中で、ドクターヘリの導入は上田市にとっては大変ありがたいことであります。
佐久病院から医師等が同乗し、約15分で上田市に到着するとのことであります。
そこで伺いますが、ドクターヘリの導入に対して上田市はどのように対応しようとしているのか具体的に伺います。

次に、ヘリポートについてでありますが、ヘリコプターが来ても降りるところが必要であります。安心できる「ヘリポート」の確保についての考えについて伺いまして1問とします。




2 問
 再質問をいたします。
まず、基幹在宅支援センターと6ヶ所の在宅支援センターについてです。
市役所の基幹センターの職員は5人中5人が兼務であります。
また6ヶ所の在宅支援センターの職員は、21人中16人が兼務で専任は5人であります。6施設全体で5人しかおりません。
このような状況で、年々増えてくる高齢者の状況に適切に対応する、本来の任務が果たせているのか不安であります。現在でも、年間1万件を超える相談を受付し、訪問だけでも約3,500件に上ります。
専任で業務ができるような態勢を作ることが、絶対的条件であります。
そのためにはまず、基幹センターである高齢者介護課の体制をきちんと強化しなくてはなりません。その上で、各在宅支援センターへの指導強化行う必要があります。
そこで伺いますが、人員体制の強化についてはどのように考えているのか伺います。


次に、国民健康保険について市長に伺います。
なぜ、一般会計から国保会計への法定外繰り入れができないのですか。
国民健康保険事業は日本が世界に誇れる「国民皆保険」の根幹事業であります。しかし、国民健康保険は農家や、飲食業、小規模の建築、土建業者、電気設備業者などの自営業者や、年金受給者、フリーターやニートといわれている定職を持たない若者、不況の中での倒産やリストラ、会社都合による解雇による退職者、外国人などの加入が増えており、不安定な国保財政にならざるを得ないような構造的問題をもっております。
一方、収めたくても収めきれないような高額な保険税の値上げにより、収納率は低下し、短期保険証の交付や資格証明書の発行による制裁措置の強化という悪循環を繰り返しております。
現在、上田市の全世帯の半数以上の約25,000世帯、53%の家庭が国民健康保険に加入している現状であります。上田市における国民健康保険は特定した一部の皆さんが加入している制度ではなく、過半数を超えるような世帯が加入している中で現在の国保会計は運営されているのであります。
このような中で、県内の市でも、長野市、松本市、伊那市、塩尻市などが、一般会計から国保会計への繰り入れを始めてきております。
一般会計から国保会計への繰り入れをしながら、国保事業を守っていくのかどうかは、ひとえにすべて市長の政治決断の問題であります。
そこで伺いますが、今後も今までのように、ただ赤字分は毎年の保険税率の引き上げによって加入者に転嫁して穴埋めを行っていくようなことを続けていくのですか。私は、すでに決断を下す時期に来ていると思いますが、母袋市長の決意を伺います。


次に、長野病院についてです。
市長は上田市として市民病院は作らないということです。
ご承知のとおり、自治体が病院経営を行っていくことは、全国の自治体病院を持っているところの状況を見ても容易なことではありません。
そうであるならば、現在の立派な建物である長野病院を、市民が望んでいるような市民的な病院としての役割を果たしうることのできる施設にしていく努力が当然求められるのではないかと思われます。
医師不足に対する市民の不安を医療態勢の強化などにより、安心感を市民の中に具体的に醸成していく必要があります。
「長野病院に入院したから安心だ」といわれることが必要なのです。
現実に医師が減少されても、「基本的に現状どおりの救急患者の受け入れ体制を維持することが確認されました。」ということだけでは、どうみても説得力がなく大変不安であります。
上田市内にある長野病院であります。もっと上田市としても具体的な援助を行いながら、医師の人数が少なくて市民の要望に十分応えることができないということのないような病院にすることが必要かと思われます。
具体的な援助の内容について、もう少し詳しく市長の再度の考えを伺います。