2005年(平成17年)9月議会 一般質問
9月15日(木)
金 井 忠 一
1問
通告に従いまして、介護保険制度の改正について質問いたします。
この4年間「痛みに耐えれば明るい明日がある」といわれてきたが、明るいどころか私たち庶民には激痛ばかりであります。地震、台風、大雨と自然もおかしくなってきているが、もっとおかしくなっているのが政治のような気がいたします。
選挙が終わって2日目の13日に報告された財務省の2006年度概算要求では、社会保障は圧縮し、軍事費や無駄遣いのような公共事業などは依然として聖域扱いする方向です。そして、個人所得税の定率減税に関しては、2006年度税制改正で全廃する方向を示しました。懸念していたとおり、サラリーマン増税がやられようとしています。
この数年間、医療制度では、2003年4月からサラリーマン健保本人の負担が2割から3割になり、負担増で受診を控えた患者は6割に上るといわれております。
高齢者への医療は、2002年10月から1回850円の定額制が一律1割負担になり、高所得者は2割になりました。お年寄りには。ズッシリと思い負担になりました。
年金では、2004年10月から厚生年金保険料が2017年まで毎年引き上げられ続け、国民年金保険料は、2005年4月から月額280円づつ2017年まで毎年引き上げられることになりました。
母子世帯の命綱である児童扶養手当は、2003年4月から5年後に給付を最大半分に引き下げることになりました。
生活保護では、2004年4月から3年間で老齢加算が段階的に縮小・廃止されることになりました。2005年4月からは母子加算の削減もされました。
そして、介護保険では、軽度の人の介護サービスを切り捨て、施設利用者に大幅な負担増を押し付ける介護保険法が今年6月22日成立し来年4月から実施されます。
そこで、最初に、介護保健施設の食費と居住費の値上げについて伺ってまいります。
今年10月・来月からですが、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型施設の介護三施設の居住費、食費が保険から外され、全額自己負担になります。
現在入居しているお年よりや家族にとっては大変であります。後二週間すればそうなるのであります。
その金額は、食費と居住費で入居者一人平均年額で39万円も値上げするということです。負担額・基準額は相部屋で月額8万1千円から8万9千円。ユニット型個室でつき12万8千円から13万9千円になるというモーレツなものであります。
低所得対策はあるが、それでもなお年金収入のほとんどを入居費として払うものであり、年金額を大幅に超えた負担を強いられる人が多く出るようになり、家族の中からは大きな不安の声が上がっております。
しかも急なことです。来月から実施されるのです。お年寄りが払えなければ家族が払うのであります。そうでなければ施設に入っていることができなくなってしまうのであります。
このままでは、お金持ちしか施設には入れなくなってしまいます。お金が払えない人は施設から追い出されてしまいます。どこに行けばいいのでしょうか。
まさに、「金の切れ目」が「介護の切れ目」になってしまいます。
そこで第1に伺いますが、低所得者対策として負担上限が設けられるということですが、どのような措置が講じられるのか具体的に伺います。
第2に、短期入所・ショートステイと通所サービス・デイサービスとデイケアについて伺います。
今回の改定では、短期入所の滞在費や食費、通所サービスの食費が保険から外され全額自己負担になります。
一方、低所得者への軽減措置は盛りこまれておりません。
そこで伺いますが、今度の改定に当たって上田市独自の低所得者対策についてはどのように考えているのか伺います。
次に、介護保険料の改定について伺います。
地方税法の改正により、2006年から高齢者に対する住民税の非課税措置が改悪され課税されることになります。それに伴い、保険料の段階区分も1段階から2段階に上がり、施設利用料も、一割負担の食費も大幅な負担増になることが予想されます。
そこで、第1に伺いますが、現在収納率は85.5%で滞納金額は1千758万円であります。しかも滞納者の多くは年金額が、年18万円以下の低所得者であります。平均の保険料は年額1人37,082円という人であり、圧倒的に生活困窮者であります。さらに保険料が上がれば、いっそうの収納率の未納が予想されるますが、その対策はあるのか伺います。
第2に、政府は、来年4月の介護保険料改定では、全国平均で現行より月額約600円引き上げる必要があると試算しております。上田市では現在基準月額3,098円であるが、どのくらいになると予想しているのか伺います。
次に、利用料と保険料の減免について伺います。
今まで上田市では、お金が少ない人が社会保障から排除される事態を改善しようと、介護保険料の減免や利用料の軽減制度を独自に実施してまいりました。
県内でも全国的にも高く評価され、多くのお年寄りの皆さんに感謝されている制度であります。
そこで、市長に伺いますが、今までのような独自の制度について堅持していくのか、その考えを伺いたいと思います。
次に、新たに要支援1,2と判定され、新予防給付の対象となり、従来のサービスが受けられなくなる人の対応についてはどのように行うのか伺います。
次に、介護保険事業について伺います。
住民にどのような介護サービスをどれだけ提供するかを決めるのは市の介護保険事業計画であります。
「新予防給付」の実施は、原則的には来年4月とされているが、準備ができるまでは2年間開始を遅らせることもできることになっております。
地方自治体が国の悪政の防波堤になり、住民の生活と命を守るためにも高齢者から介護サービスを取り上げない措置が必要となります。
そこで伺いますが、事業計画の進捗状況と今後の進め方について伺い、1問とします。
2問
施設の食費と居住費の値上げについてですが、上田市の老齢基礎年金の平均月額は50,663円です。現在、介護保健施設に入所している人は811人おります。この皆さんの家庭の状況はどうなっているのでありましょうか。
月額2万円や3万円しか年金をもらっていない高齢者でも、答弁があった国の低所得者対策があれば今までどおり入所していられるのですか。
とてもだめだと思います。特に80歳以上の女性の場合は年金が月2万円や3万円の人が多くおります。
そこで伺いますが、国の低所得者対策で利用者負担限度額を設けても、これでは施設利用はできない状況が生まれます。施設入所者の家庭の実態をどのように把握しているのか、どのような対応を考えているのか伺います。
次に、負担に耐えられない人は、現実に施設を追い出されるわけです。
施設から在宅に戻らなくてはならないのであります。しかし、現在、労働や雇用の環境変化が激しくなる中で、家庭で介護できる人は年々減少してきております。
家庭介護力の低下している上に、頼る家庭のない独居者、老老介護が増え、行き先のない高齢者が増加することが予想されます。
現在、上田市では近くに近親者がいない独居高齢者は2,138人です。高齢者世帯は3,477世帯もおります。
施設を出なくてはならなくなり、家庭で介護することのできない高齢者等への対応はどうするのか伺います。
次に、短期入所や通所サービスについてですが、滞在費や食費が全額自己負担になれば、年金が少ない人は利用を抑制し、在宅の高齢者の食事の保障を乏しくします。
また、外出の機会や入浴の機会も減るなど、身体の清潔をはじめ、高齢者の健康にも影響が出ることが予想されます。
現在、短期入所は463人利用しております。通所サービスも1,841人利用しております。
そこで伺いますが、自己負担が多くなっても、年金額は増えないのが現状です。それどころか来年はもっと介護保険料が値上げして、年金から天引きされるのです。お金がないのですから、おのずとサービスを減らす人が増えることは当然予想されるわけです。その対策について市ではどのように考えているのか伺います。
次に、利用料の軽減や・保険料の減免についてですが、国の打ち出す施策の後追いをしているだけでなく、自治体としての主体性を持つことが必要であります。
今後、合併で住民と自治体の距離はさらに遠くなることが予想されます。
「金の切れ目」が「介護の切れ目」にならないような独自の施策が求められます。そうならないように、上田市では独自に今まで対策を講じてきたのであります。
現在、保険料の減免は60人。利用料は1,002人が軽減をしております。金額でも2千万円ぐらいであります。大事なことは、利用料の軽減や保険料の減免措置が自治体に制度としてあるということです。そのおかげでサービスを今までどおり受けることができ、どれだけのお年寄りや、家族の皆さんがありがたかったかわかりません。
そこで市長に伺いますが、すでに上田市の介護保険事業計画は審議されているわけですが、市長の考えや意思はどのように盛り込まれ、独自の措置はどのように審議されようとしているのか伺い2問といたします。
3問
介護保健施設の食費と居住費の値上げについてですが、在宅の人との負担の公平ということを言われるが、ホテルに泊まっているのではないですよ。
施設にもタダで泊まっているのではないです。タダで入所しているのではないですよ。
介護保険料として、毎月年金から前もって天引きされているのであります。
介護保険制度は、介護を家庭だけでなく社会全体で支えていくといってできた制度であります。ならば、年金が少ないから、お金がないから施設を出なければいけないなどというお年寄りがでることは制度上も絶対あってはならないことであります。介護保険制度の理念にも反する。給付が増えてお金が大変だからと、負担の公平の元に入所者に負担を求めるのなどということはスジ違いもはなはだしい。
そこで市長に伺いますが、上田市は国の低所得者対策を講じてもお金が払えない高齢者等で、施設を出ざるを得ないような家庭環境のものに対してどのような歯止めを考えているのか具体的に伺いたいと思います。
次に、利用料・保険料の減免についてですが、県内でも先進的に実施してきた施策を継続しないようなことになれば、上田市の福祉の大後退であります。
市長は、昨日の答弁でも「市政の主人公は市民であり、常に生活者基点で市政運営に当たっている」と述べておりました。うまいことをいいます。
ならば、介護保険の利用者は高齢者であり、高齢者の立場で福祉対策に当たってもらいたいと思います。
この問題は、まさに母袋市長の福祉に対する姿勢が問われる大問題であります。
現在の上田市における高齢者の生活実態をキチンと把握して、事業計画に反映させることが大切ではないですか。
そこで再度、市長の介護保険制度の改正に当たって、上田市の福祉を後退させない決意をお聞かせいただき質問を終わります。