キャプテン翼・ワールドユース編の失敗点の考察






ええ、久しぶりの駄文です。今回からは書評の真似事みたいなことを始めようと思います。

まあ、一回目に漫画を選んでる点からしても、そんなに堅苦しいものではないので、気楽にお付き合いください。

で、キャプテン翼のワールドユース編が今回の題材になります。シリーズ物である関係上「無印」や「2002」の話も出てくるかと思いますが、

主題はワールドユース編についてです。

さて、このワールドユース編。世間での評判は芳しくありません。まず、その辺の話から始めます。



欠点として主に上げられる部分は以下のようなものがあります。

  • 1.ワールドユース編よりの新キャラクタ「葵 新吾」が攻守にでしゃばる為に、無印からの残留組が目立たない。


  • 2.翼が無印より大幅にパワーアップしたため、試合展開が「やばくなったら翼が何とかする」の図式に終始して、メリハリが無い。


  • 3.殆ど背景と化してしまった、三杉と松山。


  • 4.ドイツ及びシュナイダーの没落。


  • 5.トンデモシュートの比率、無印より大幅アップ。


  • 順に考察して行こうと思います。



    まず、1ですがある面正論ではありますが、仕方ないとも考えます。

    何故なら、葵には無印時代の歴史が無いわけですからある程度キャラ立てを行わなければなりません。

    ましてや、彼はワールドユース編の福主人公ですし。

    ワールドユース編は「翼に憧れて努力を重ね、ついに夢を掴んだ」葵の物語でもあると思うのです。

    それに確かに序盤こそ葵は大活躍していましたが、中盤以降(中国戦で試合欠場して以降ぐらいでしょうか)は、

    強敵相手にとりあえず突っ込んでって軽くやられ、相手の強さを引き立たせる役どころに落ち着いたからです。

    この展開の後に、無印からのレギュラーキャラクタが格の違いを見せ付ける展開にもできるかと思うのですが、

    実際にはみんな翼任せです。よって、葵の存在はそれ程のマイナス要素とは思えませんでした。

    むしろ、彼が崩れた時の他キャラクタの踏ん張りの足りなさが原因であるのかもしれません。



    続いて2ですが、これは前項の最後の話にも関わってきますね。

    見返してみると、岬がいなくなり、葵が一歩引いた辺りからが特に酷いです。

    無印を見ると、翼がヤバくなると岬のフォローが入るパターンがかなり多いです。

    逆に言うと、「岬がいるから翼が失敗できる」法則があったのだと思います。

    アルゼンチン戦など、特に顕著ですので見返されるとよろしいかと思います。

    その為、岬離脱後のワールドユース編は「基本的に翼が失敗できなくなった」為にかなりバランスを崩しているような気がします。

    少しは他のキャラクタが活躍することもありますが、どうにもバラバラです。

    で、割合試合にどうでも良い場面に単独活躍が割り振られてます。ウルグアイ戦などが参考になるかと思います。

    この部分については確かなことだとは思いますが、むしろ「岬がいなくなったこと」が問題の原因な気がします。



    3に関してですが、これは完全にそうです。

    実は、多少活躍しているシーンもあるのですがそれ以上にマイナス点が大きく見えてしまいます。

    アジア予選ですら、ざるみたいに簡単に抜かれていたのはなんとも。

    実は、無印のJrユース大会でもそんなに活躍したわけではないのですが(ほぼアルゼンチン・フランス戦に集中)

    結局は抜かれるシーンでもある程度粘って抜かれている描写がなされているためか、そんなに気になりません。

    固定ファンが多いこの二名(松山は俺も好きです)の扱いが不人気に繋がっていた面は否定できないかと思います。

    治療で碌に体を作れなかった三杉は兎も角、松山はどうしてこんなに衰えたんでしょう?

    その後、プロに進んだ松山は大分その実力を取り戻してきたようですが、三杉は相変わらず怪しいです。

    進んで翼の劣化コピーになろうとしてる辺りが。



    4つ目。これは確かにそうでしょうが、流れ的には不自然でない気がします。

    スウェーデン戦の5対3での負けは、むしろドイツの強さを示すものだと思います。

    事前にデータ的に丸裸にされているにも拘らず、3点を取ったドイツ(多分シュナイダーのハットトリック)は流石でしょう。

    反面、5点取られてしまったのも道理でこれはレヴィンシュートでミューラーが潰された為でしょう。

    ドイツのディフェンスがザルなのは皆さんご存知の通りです。

    ブラジル戦の大敗はモチベーションがもうかなり薄れていたんだろうな、という感じです。

    全ての引き金はレヴィン(シュート)だと思いますが、何故シュナイダーは何の対策も採っていなかったのかが不思議に思われます。

    同じブンデスリーガで対戦もしてるんだから、当然存在を知っていたはずなのに。



    5。これは全くその通りで「強いシュートを打つと1点」の図式が出来たためにそこまでの過程である、

    ドリブルだとかパスだとかの扱いがどうしても軽くなってしまったのだと思います。

    特に酷いのは中国戦の後半で、何かシュートだけ打ってて終わってしまったような感じでした。

    ワールドユース編のシュートといえば「雷獣シュート」ですが、日向の新兵器であるこのシュートは

    全日本に大量の得点をもたらしたと共に、ワールドユース編に大量のトンデモシュートをもたらしてしまった気がします。

    以上のように、巷で語られている話はどれも一理有り、ワールドユース編の不人気の原因であると思われます。

    一つ一つは小さくとも、それが重なってしまうと酷く気になるものです。



    個人的にワールドユース編に一番足りなかったと思っているものを書いて、この文を終わろうと思います。

    それはゴールシーンの盛り上げ方です。

    例として、作品の締めであるゴールシーンを上げます。

    無印の締めのゴールシーンはドイツ戦のラストシュートです。

    厳密にはその後全日本でのゴールシーンがあるのですが、作品の締めのゴールとしてはこちらでしょう。

    このゴール、流れが完璧です。俺的に。箇条書きします。



    シュナイダーの逆を突いたシュートを変形三角飛びで見事止める若林

    若林からのパスを受けた翼、あっさり中盤を岬に任せてゴール前へ

    岬、ドイツ守備陣をドリブルで翻弄。最後はタックルを足に受けながらもセンタリング。台詞「後は任せたぞ!」

    受けた日向、あっさりとスルー。モノローグ「皆で誓い合ったサッカー世界一への夢。任せたぞキャプテン」

    スルーされた先には翼が。ジャンピングボレーするもシュナイダーに防がれる。

    こぼれダマを再び競り合う。翼一瞬速くシュート。ミューラーも届かないがボールは枠外。

    枠外と思われたボール、急降下。ドライブシュートだった。が、惜しくもポスト。

    ポストに当たって跳ね返ったボールに翼飛びつく。超低空オーバーヘッド。台詞「これが、最後のシュートだァ!」

    ミューラー追いつくが、ボールがホップ。なんとドライブ回転がかけてあった。(かけても浮かないと思うが、そんな事言うのは野暮)

    ゴール!!



    ほんの10ページ程度の間に山ありまくりです。個人的にはマンガで一番燃えたシーンです。


    たいして、ワールドユース編のラストシュートは、



    若島津、オーバーラップ。葵にパス。同時に全員が敵ゴール前に上がっていく。

    葵ドリブルで粘るが周りを敵に囲まれどうしようもなくなる。

    日向が葵にタックルでフォロー。ボールをゴール前へと掻き出す。モノローグ「すまん葵、こうするしかなかったんだ」

    ゴール前、岬とサンターナが競り合い。怪我をしている足を差し出してパスを送る岬。

    パスを受けた翼、オーバーヘッドにいくがナトゥレーザに防がれる。

    翼、こぼれダマを上手くコントロール。その体勢のまま再びオーバーヘッド。

    ゴール!



    という流れです。最後のナトゥレーザとの競り合い以外はかなりあっさりしてます。


    全般的に、ワールドユース編のゴールはあっさりしてますが、最後までそうでした。


    無印のゴールは「入ったァ!!」って感じで、ワールドユース編のゴールは「入っちゃった...。」って

    感じでした、俺は。全般的に。これが一番いけなかったんじゃないかなぁ。


    2002は今のところ微妙ですね。若林対シュナイダーのゴールシーンやサンターナ対リバウールのゴールシーンは

    は中々良かったと思いますが、他はまだまだワールドユース編の悪癖を引きずってる気がします。

    ファンとしてはこれからに期待したいところですね。チャンピオンズリーグ編も見たいですし。



    お付き合い有り難う御座いました。











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