ファイアーエムブレムと私
今回のレビュー駄文は任天堂の名作、ファイアーエムブレムです。
ジャンルは、自軍の複数のコマ(ユニット)を使い、敵軍のユニットとの戦闘を繰り返し
特定の目的を達成して行くという、所謂シミュレーションゲームに、個々のユニット(ユニットは人間1人単位です)の成長要素を加えた
シミュレーションRPGと呼ばれるジャンルです。
このゲーム、どうもメジャーなのかマイナーなのか判断に苦しむところです。
販売本数的には中ヒット程度には売れたのですが、どうも購買層が固定されているようでして
熱狂的ファンはいるものの、所謂売れ線のゲームとは言えないかもしれません。
しかしながら、シミュレーションRPGの草分け的存在であることは間違いありません。
この作品以前にもこのジャンルは存在しましたが、このジャンルを本当の意味で根付かせたのはこのゲームであると思います。
第1作目である「暗黒竜と光の剣」はFCで登場しました。
うろ覚えですが、任天堂が発売元であるこのゲームは、そこそこどの雑誌でも特集が組まれていたと思います。
しかしながら、それまでのコンシューマには無いジャンルということもあり、何だかおっかなびっくりといった感じの紹介でした。
それでも妙に私の気を引くソフトでした。どうにかして手に入れたかったのですが、当時小学生の私の経済状態は、けして良くはありません。
発売日も過ぎましたが、無い袖は振れません。ひたすらチャンスを待っていました。
1週間目にチャンスが来ました。中古が、定価の半値程で出たのです。これなら何とかなります。
早速購入しました。(どうでもいいですが「一作目は中古購入」というパターン多いです、昔の私)
初めてのジャンルです。右も左も解らないのである程度、特集を組んでいる雑誌で予備知識をつけました。
「ユニットは戦闘により成長すること」「ユニットは生産するのではなくある特定の条件を満たすと自軍に加わること」、
「ユニットが戦闘により失われた場合、基本的に復活させる手段が無いこと」辺りが主たる特長であることが解りました。
序盤は、攻略記事を参考に進めました。序盤には終盤まで戦力になるユニットが数多く味方になります。
特に奇を衒った、加え方をするユニットは余りいません。
そういった意味で、やはり任天堂はゲームを作るのが上手いな、と改めて思います。
条件が解り辛いものなど、仲間に加えそこなったユニットもいますが、大きな問題は無く進んでいきました。全25章中の、20章までは。
20章で詰まってしまいました。原因はこの章に登場する「カミュ」という敵ボスに勝てないからです。
後日わかりましたがこのカミュ、特殊能力を持たないボスとしては全ボス中最強に近い性能でした。
2回攻撃、クリティカルヒットの出やすさ、使っている武器の強さがその要因です。
正確に言えば、自軍の強めのユニットを5〜6人犠牲にする覚悟なら勝てないことも無いですが、それでは後が続きません。
原因は、ユニットを均等に育てていたために切り札と言えるユニットを作れていなかったためでした。
結局、どうしようもなくなり1章からやり直すことになりました。今度はエースを決め、2軍には経験値を回さずに1軍を鍛えて
きっちりと育てていきました。今度は犠牲無しでカミュを討ち取り、その勢いでクリアしました。
そのゲーム性(将棋に近いでしょうか)、物語性などが当時としては物珍しく、心に残りました。
続いて第2弾である「外伝」が発売されます。前作の登場人物が数人登場する、別の場所での話です。
主人公が二人おり、交互に進軍していく形式です。恐らくは前作ではどうしても2軍になってしまい使われないキャラクタ(ユニット)がいたことを
改善するために、部隊を二つに分けてなるべく多くのキャラクタに機会を与えようという意図だと思われます。
また、今作は難易度が高めだった第一作目から、いろいろな点で一般向けに修正されています。
前作では耐久力制だった武器を無限に使用できるようにしたり、何度もプレイできるマップを用意し経験値稼ぎを幾らでも出来るようにしたり
敵を弱めに調整したり、などです。
大変にプレイしやすくなったものの、前作のシビアさを愛している人が意外に多く、返って否定的な評価を下す人が少なくなかったことは皮肉でした。
私個人としては、この作品も好きです。確かに歴代シリーズの中では異色の作品なのですが。
第3弾は第1作のリメイク「紋章の謎」です。SFCにプラットフォームを移し、第1作に新作のシナリオを追加して2部構成に作り直したものです。
第1作分のシナリオ25章を20章に減らしたり、それに伴って削除されたキャラクタがいたりしますが、豪華な作りです。
また、操作体型も改善されており、ぐっと遊びやすくなっております。
シナリオとしては1作目では謎となっていた多くの事項のフォローが主です。この後、第3部の構想があったらしいのですが、
もう形になることはほぼ無いと思われます。(理由は後述します)
このソフトもまずまずのセールスを上げ、このシリーズを根付かせました。
第4弾の、「聖戦の系譜」は1〜3作の遥かな過去時代の話、らしいです。実際にはシナリオ的には繋がりを感じる部分はないです。
裏設定というやつですね。
システムも、大きく変わりました。前作までは小さなマップを連続でクリアしていく所謂「キャンペーン方式」でしたが、
今作からは、大きな一つのマップの複数の目的を達成していく形式へと変わりました。
都合、章数も前作からは大幅に減り、12になりました。
ですが、一つのマップのプレイ時間は長いものとなり、様々な状況の変化が起こり、それに対応した戦略を組まねばならないという
別の意味で奥深いゲームになりました。
シナリオ的な構成としては2部構成で、第2部は第1部のキャラクタの子世代の話です。
この代替わりの部分の描写については、ストーリー的にはかなり意表をつかれました。ネタバレになるので詳しいことは書きませんが
第2部を進めるほど、じわじわと感動が押し寄せてくるような感じです。
また、親の能力・装備を子が受け継ぐというシステムも、ゲーム的にもシナリオ的にも成功だと思います。
親の組み合わせで、子の世代に影響が大きく出るというシステムから、自身での難易度調整すら可能であり、ある意味シリーズ一に
自由度が高い作品でした。そのため、シリーズ中でも、特に多くのファンを持ち、再び好セールスを上げました。
反面、そのシステムから発生する難易度の低下や、登場キャラクタの殆どが血縁関係である点等が一部ファンに嫌悪され、
アンチファンも多いという作品でした。
ちなみに、私は純粋に一本のゲームとしてみて、このゲームの完成度の高さが好きでしたしたのでファンの方です。
繰り返し何度もクリアして、半年ほどずっと、こればかりをプレイしていました。
第5弾は、「聖戦の系譜」の登場人物の一人にスポットライトを当てた作品です。
その登場人物(ある国の王子です)が「聖戦の系譜」にてプレーヤーの軍に参加するまでの間の、自国の軍を率いての戦いを描いた作品です。
システムは、「キャンペーン方式」に戻りました。タイトルは「トラキア776」です。プラットフォームは引き続きSFCです。
販売形態は特殊で、最初はロッピーの書き換えのみ、後日ROMカセット版が発売されました。
このソフトは、その高難易度で有名でした。今までのシリーズをプレイしてきた人たちへの挑戦状のようなものです。
敵の配置のいやらしさ、思考ルーチンなど、今までのシリーズより数段上でした。
けして理不尽になりきっていないところは流石ですが。
ここまで、全作品をクリアしてきた人たちも、投げ出す人が多かったようです。販売本数の少なさと相まって
日本でもクリアした人数は5ケタには届かないだろう、と言う噂も流れたくらいです。
幸い、私はクリアできました。どうしても1人だけ仲間に出来なかった(条件が厳しいので)キャラクタがいましたが。
かなりの達成感はありました。が、さてもう一度という気には、なれませんでした。
この作品を最後に、総合プロデューサーの加賀氏と数名のスタッフが任天堂を離れます。
そして、これ以降この世界観を使った作品を作る予定は無いようです。
それが、「暗黒竜と光の剣」「紋章の謎」に続く第3部が作られない理由です。
また、加賀氏は独立して、「ティアリングサーガ」というこのシリーズのシステム的な続編を出しました。
プレイしましたが、出来は従来のものに比べかなり粗く、魅力が薄い作品になってしまっていました。
半分を過ぎたところで、途中で止めたままです。
また「ティアリングサーガ」は、余りにもこのシリーズに酷似したゲームシステムであるがために訴訟問題が起き(権利は任天堂にあるわけですから)、
裁判が行われるなど違った意味で話題にもなりました。
それでも、第6弾はでました。
もう前作とのつながりはシステムだけですが。携帯機のGBAで「封印の剣」が発売されました。
子供向けにグラフィックの変更(画面が狭いための変更かもしれません)などされていますが、
中身はまさにこのシリーズです。難易度は中くらいです。
現在プレイ中で、半分を過ぎたところですが、やはり楽しめます。正当な続編です。
従来の「キャンペーン型」から、大きく奇を衒った変更はありませんが、逆に安心して遊べます。
任天堂を離れた中心人物達が作ったものより、残った人間だけで作成した作品の方が、
よりシリーズの後継者に相応しいというのは皮肉ですが。
2転3転しているこのシリーズですが、これからも続編がプレイできそうで喜ばしいことです。
どの作品からプレイしても、このシリーズのエッセンスは詰まっています。
是非、一度プレイされてみてください。将棋やチェスが好きな人には特に楽しめると思います。