中央構造線は日本最大級の断層であるが、この断層の発生過程や性質、活動史などには
謎の多い不思議な断層である。中央構造線は、主に、その西側に領家変成岩、東側に三波
川変成岩が分布している。領家変成岩は、高温低圧型の変成岩で、現在の日本列島では火
山帯の直下で形成されるような変成岩である。一方、三波川変成岩は高圧低温型の変成岩
で、これまた現在の日本列島で考えるとプレートがもぐり込む海溝のような場所でできる
と考えられている。お互いに形成環境がまるで異なる二つの変成帯がなぜ中央構造線を介
して密着しているのか、解明が待たれる。