松本市 牛伏寺(ごふくじ)断層
 松本市の南西、中山丘陵の西側に、牛伏寺断層と呼ばれる活断層がある。 1996年に政府の地震調査研究推進本部の発表で「牛伏寺断層を含む区間では、現在を含めた今後 数百年以内に、M8程度の規模の地震が発生する可能性が高い」と指摘された。  この断層線に沿っては、断層崖、断層谷(ケルンコル)、断層突起(ケルンバット)、河川屈 曲など、断層活動に伴う特殊な地形が明瞭に現れている。  写真は、中山霊園から牛伏寺方面を撮ったもので、写真中の→ ←を結ぶ線が牛伏寺断層になる。

 牛伏寺断層を、南東側から撮影したもの。→ ←が断層位置。遠景は松本中心街。 この断層は左横ずれ断層とされている。(断層をまたいで立った場合、左側の岩盤が自分の方に 近づくようにずれる)
  2011年3月11日の東日本地震によって東北地方の乗っている北アメ  リカプレートは太平洋側で数メートルほど東方向に移動した。(図中  の緑色の矢印)   その結果、最近は主だって動いていないユーラシアプレートとの境  界線である糸魚川静岡構造線(図中のISの線)沿いでは今まで東西  方向に圧縮されて動きづらかった断層が本来の左横ずれの活動が起こ  しやすくなったという。国の地震調査委員会は糸魚川静岡構造線の一  部である牛伏寺断層(図中のA)の活動による地震発生確率がより高  くなった可能性があると発表した。(2011年6月)   同様に東京の立川断層、福島県の双葉断層などで地震発生確率が上  がったと発表された。
<参考文献> 田中邦雄監修(1983)松本盆地の生い立ちを探る 松本市・東筑摩塩尻・南安曇・北安曇教育委員会 松本市史編さん室 (1994) 松本市史 第一巻 自然編抜刷 第二章 地形・地質 降籏和夫 編(2001)改訂 長野県 地学のガイド 信濃毎日新聞社編集局 編 (1998) 信州の活断層を歩く (宮坂 晃)

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