地震などの地殻変動が起きると、震源の近くでは地盤の隆起や沈降、水平移動など様々な地殻
変動が生じる。その変動量を調べるには、今までは多くの手を煩わせて正確に測量を繰り返すし
かなかったが、最近はGPSを用いた日本全国の観測網が整備され、正確に、かつ瞬時に変動量
が測定されるようになった。観測点は、目下1200地点で、およそ20〜25km間隔で全国を覆
っている。
各観測点には高さ約3〜5mのピラー(観測塔)が設置されており、その頭部にGPSアンテ
ナが備え付けられている。胴体内部には受信機、データ送信のための機器、予備バッテリー、傾
斜計が設備されている。ほとんどの観測点はインターネット網によって常時接続され、1秒間隔
でデータが取られ、かつ転送されている。これによっていつ、どこで起こるかわからない地震で
はあるが、地震の前後で、データを比較すれば変動量がわかる仕組みである。
写真は上田市に設備されているものだが、長野県内にも十数カ所あるので、自分の家の近くで
ぜひとも探してほしい。
GPS=Global Positioning Systemの略。地球の周りを回っている複数の人工衛星からの電
波を受け取り、その到着時間のごくわずかな差から自分の正確な位置を割り出すシステム。車の
カーナビ等に応用されている。
<参考文献> 日本地震学会広報誌「なゐふる」No44
(宮坂 晃)