北相木村の箱瀬の滝は、新生代 第三紀 漸新世といわれる北相木層に、秩父中古生層に属する御座山
(おぐらやま)層群が衝上している北相木断層が、観察される地点として有名である。
地層累重の法則によれば、新しい時代の地層ほど古い地層の上位に重なるはずだが、ここでは、新し
い地層の上に、断層を介して古い地層が乗り上げている。このように、もともと下位にあるはずの地層
が上にのし上がるような断層を逆断層または衝上断層(thrust:スラスト)という。
滝は上盤側の御座山層群のチャ−トにかかっており、その下の滝壺の部分が下盤側の北相木層の砂岩
泥岩互層になっている。 写真の大部分は御座山層のチャ−ト岩体で、右端のやや色の濃い部分が北相
木層である。滝壺の上を通る道路沿いの崖で、かつては断層面が観察されたが今はコンクリ−トに覆わ
れてしまっていて、残念ながら観察できない。