戸隠の各地では化石を多産し、多くの研究が
なされてきた。現在、化石を産出した露頭がコ
ンクリートに覆われたり、保護のため立ち入り
が制限されて自由に観察できる場所は少ない。
裾花川と楠川の合流部に位置する日照田では
猿丸層の牡蠣(カキ)化石層が認められる。上
の写真で白い斑点のように見えるものはすべて
カキ化石である。
カキは、天然のものは北海道のサロマ湖のも
のが有名である。サロマ湖は湖でありながら一
部は海とつながっている。カキはこのような塩
分の少ない(汽水という)環境に住んでいて、
汽水になる条件としては、サロマ湖のような入
り江、または真水が海に流れ込む河口などが考
えられる。従ってカキの化石が産出すると、そ
の場所はかつては汽水の環境だったということ
がわかる。このように昔の環境を推定できる化
石を示相化石という。
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柵層から産出する化石は「掃き寄せ型」と呼
ばれてもともと生息していた場所から海水によ
って流されて再堆積したものが多い。従って貝
化石(二枚貝)は二つの殻が離れて片方だけの
ものが多いが、ここに産出するカキ化石はほと
んどのものが二つの殻がつながっていて、もと
もと生息していた場所で化石になったことがわ
かる。(下の写真参照)
さてカキは写真のように化石礁を作る。住ん
でいる場所は河口のような土砂の堆積が盛んな
場所なので、まごまごしていると自分の体が土
砂に埋もれてしまう。それを防ぐためもあろう
が、カキは、先に死んだ先輩のカキの殻の上に
住み付き、何世代もそれが続くとカキの化石は
上下に長くなる。柵層からは長さが30cm近い大
きな化石も発見される。
カキ化石層を観察しながら、ここが入り江だ
った頃を想像してみよう。
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