(上写真)火打岩のクローズアップ
火打岩はチャート (chert) という堆積岩でできている。チャートは硬い石で、ハンマーを打ち下ろ
すと火花が飛ぶことから昔は「火打石」と呼ばれていた。(別名:角岩、珪岩など)
長野県下では、チャート層は糸魚川静岡構造線より西側の古生代中生代の地層にはよく挟まれている
が、糸魚川静岡構造線より東側の新生代の地層には全く見あたらない。これは新生代の地層と、それ以
前の地層の堆積した環境が異なるからだ。
チャート層は海洋の深海底に堆積している珪質軟泥が固結したものである。珪質軟泥とは、海水中に
溶けている二酸化珪素(地表付近にある岩石に最も多く含まれる成分)が沈殿したり、海洋に生息する
放散虫(ラジオラリア)の殻(二酸化珪素でできている)が海底に積もってできたものとされている。
写真ではチャート層特有の縞模様がよく見える。深海底では1000年で数mmの速さで地層が堆積すると見
積もられているので、これだけで何十万年もの時間が重なっていることになる。
日本のはるか南の深海に堆積したチャートは、その後プレートに乗って日本列島にたどり着き付加し
たのである。一方、新生代の地層は、フォッサマグナができた頃に、今ある場所で堆積したものだ。物
流にたとえると、チャートは外国からの輸入品である一方、新生代の地層は現地生産されたものである。
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