細田褶曲帯(筑北村)

 筑北村(旧坂北村)を流れる麻績川に沿っては 露頭が多く、地層の観察には適している。  このあたりは新生代第三紀中新世の青木層や小 川層が分布しているが、水平に堆積したはずの地 層が、その後の地殻変動によって褶曲や断層によ るずれなどの変形を被っている様子が観察できる。  坂北付近では緩やかな開いた褶曲が多いけれど、 西に向かい犀川に近づくにつれて次第に、両翼の 地層が急傾斜した閉じた褶曲が現れるようになる。 これは犀川断層や糸魚川静岡構造線のように変位
  量の大きい断層の影響があるのだろう。    別所〜仁熊にかけては波長の短い背斜や向斜が   交互に現れ、全体としては大きな複背斜構造をな   しており、「細田褶曲帯」と呼ばれている。    上の写真は細田から東側に上る林道沿いで観察   される背斜構造。道沿いに、地層の傾斜方向が次   第に西傾斜から東傾斜に変わっていくのが判る。    これらのほか、別所と仁熊の境の橋の横では1   つの露頭で、きれいな背斜構造が見られる。   

(写真上)岩殿寺の東側の露頭で観察される露頭。一見すると不整合写真のように見えるが、不整合 ではなく、上に乗っている地層の層理面に調和的な断層が存在し、断層を境に地層の傾斜方向が逆に なって一種の背斜構造を作っている。                                      (宮坂 晃) <参考文献> 日本の地質編集委員会(1988)日本の地質T「中部地方T」,共立出版 加藤碵一・佐藤岱生(1983)信濃池田地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1図幅),地調. 斎藤豊ほか(1989)犀川砂防事務所管内の地形・地質,長野県犀川砂防事務所.        
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