中央構造線板山露頭
中央構造線板山露頭(伊那高遠)

 中央構造線露頭やその他の地学的に重要な露頭が多い伊那谷が「ジオパーク」に認定された。 このなかのひとつ、中央構造線板山露頭は、お寺(正法寺)の裏山に登る道の途中にある。  近くで畑仕事をしているおじいちゃんにその場所を尋ねると、道のみならず「中央構造線は九州から長野 県まで続く大断層で・・・・・板山露頭は一番北にある。」と、中央構造線の説明をとうとうとしてくれた。 地元の人がいかに地元の財産を大切にし誇りに思っているかが窺える。さても、せっかくこのような施設設 備を整えても、見に来てくれる人がいなければ宝の持ち腐れになってしまう。今や高校で地学を履修する人 がどんどん減って、例え観光パンフレットに載ったとしても、本で知った知識を現実に目の当たりにして感 動してくれる人がいるのか危惧される。(写真下)板山露頭と、その解説板
 板山露頭はおじいちゃんの説明にあったように、伊那谷で狭義の中央構造線の露頭として整備されている ものの中では長野県最北部に位置する。狭義とは「内帯側(領家帯)の岩石と、外帯側(三波川帯)の岩石 が直接接している」という意味である。中央構造線の延長と考えられている断層は岡谷市と佐久市にも存在 するが、一方もしくは両方の存在条件を満たしていない。ちなみに長野県を出て関東山地にも中央構造線の 延長と考える断層がいくつかあるが、これらも条件を満たしていない。  ふつう断層線部は岩石が破砕され、浸食に弱く鞍部になることが多いが、ここでは断層露頭が小高い丘の 中央部にある。内帯側の非常に硬い岩石に覆われるように断層があったことが幸いしたのだろうか。   (写真下)左側が内帯(領家帯)の花崗岩類、右側が外帯(三波川帯)の結晶片岩。三波川帯の岩石は 激しく粉砕されているが、領家帯側の岩石はそれほどもめていない。

                                       <宮坂 晃>
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