上田市と坂城町の境界には岩鼻と
呼ばれる奇妙な地形がある。
西側から伸びてきた平坦な尾根が
急に断ち切られ(写真1)、中央部
には大きな穴が空いているのである
(写真2)。
坂城町では”昔ここに棲んでいた
大ネズミがかじってできた穴だ”と
いう言い伝えがあり、おもしろいこ
とに、ここからすぐ下流側に鼠
(ねずみ)という地名までもがある。
岩鼻は、この周囲に分布する別所
層に貫入してきた石英角閃石ひん岩
岩体からなり、柱状節理が発達して
いる。
この断崖は千曲川の浸食によって
できたもので、中ほどにある30mほ
どのへこみは、昔の千曲川が削った
跡と考えられている。
また、崖の上は平坦面となっており
ここに昔の千曲川が運んだと思われ
る河床礫が乗っている。このことか
ら、千曲川の河床が時代とともにど
んどん下降してきたことがうかがえ
る。
この対岸に見られる上田市 塩尻
の崖は内村累層の緑色凝灰岩(グリ
−ンタフ)が露出しており、両者の
岩質は異なっている。このことから
この二つの崖の間に千曲川断層と呼
ばれる断層が存在する、という説が
ある。
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