海瀬のフズリナ含有石灰岩
 JR小海線の海瀬駅の東、抜井川にかか る一の淵橋の北側に東信地区では数少ない、 古生代の示準化石であるフズリナ(紡錘虫) が採集できる露頭があります。  フズリナ化石は右の写真のように、黒色 頁岩の地層の中に取り込まれた数m大の石 灰岩ブロック(白い岩体)の中に入ってい ます。 フズリナは古生代の末に栄えた生物ですが (つまり石灰岩は古生代の岩石)、一方、 周囲の黒色頁岩の地層は秩父中古生層と呼 ばれ、中生代ジュラ紀の地層であることが わかっています。  なぜ、中生代の地層の中に古生代の岩石 が入っているのでしょうか?   ここには日本列島の歴史をひもとく鍵が ひそんでいるのです。 


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 フズリナ化石はネオシュワリゲナ・ヤベイ ナ・スタフェラなどの種類が産出し、石灰岩 の表面を見ると直径7〜8mmの同心円状をし た円形の化石が多数付いているのが見えます。 これらの化石は、古生代 二畳紀の中部から 上部の時代のものです。  また、この露頭の北端では、中生代の黒色 頁岩の上に、より新しい時代の地層(新生代 の第四紀)が不整合で覆っているのが観察で きます。  左の写真の下半分の黒い地層は秩父中古生 層で、上半分の白ぽい地層は新生代第四紀の 地層です。二つの地層はくっ付いていますが 堆積した時代は1億年以上隔たっています。  このように、古い時代の地層を削って新し い地層がその上に乗る重なり方を”不整合” と呼びます。




<参考文献>  南佐久郡誌編纂委員会(1991)南佐久郡誌   自然編(上) 信州理科教育研究会(1994)大地は語る  降籏和夫(2001)改訂 長野県 地学の ガイド(コロナ社)  図表地学 (浜島書店)                    (宮坂 晃)    
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