上高地は長野県の中でも集客力が5本の指に入る
観光地であるが、地学的にも見どころがいくつかあ
る。美しい自然を地学の目で見るとまた地球の魅力
が増すというものである。
上高地の入り口に大正池がある。この池は1915年
(大正4年)の焼岳の噴火の際に泥流が発生し、梓
川を堰き止めてできたものである。
焼岳はトロイデ式(溶岩円頂丘)の火山で、この
タイプの火山は粘りけの多い性質のマグマの活動に
よってでき、噴火時は火砕流が発生するなど危険な
火山である。山体の下半部は火砕流堆積物や泥流堆
積物からなり大きなガリーができている。上部に溶
岩ドームが乗っている。
(写真左上)上高地からの焼岳。現在でも頂上付近
から白い煙が立ち昇っている。
(写真左下)焼岳溶岩。黒い細長い斑晶は角閃石。
白い大きい斑晶は斜長石