北アルプス鹿島槍ヶ岳
↑      ↑   ↑       ↑     ↑ 爺ヶ岳  布引山 鹿島槍ヶ岳  五竜岳  遠見尾根 (2670m) (2683m) (2980m) (2814m)
 後立山連峰の盟主「鹿島槍ヶ岳」。北峰と南峰のツインピークを持つ端正な姿で、安曇野からも目立つ。 長野県側から見ると山肌は切立っているが西側は緩斜面でいわゆる非対称山陵である。  多くのクライマーは扇沢から爺ヶ岳を経由して鹿島槍に向かう。最近になってこの地域を舞台にして地 学上の大事件が起こった事、そしてそのことが、謎の多かった北アルプスの隆起の状況について示唆を与 える事などがわかってきた。北アルプスを中心に長年にわたって研究をしてこられた信州大学原山智教授 が、爺ヶ岳付近に分布している火山岩類が実は巨大コールドロン(カルデラ)埋積物で、しかもこのコー ルドロンは東側に横倒しになっていることを突き止めたのである。 この火山活動が起きたのはおよそ200万年前(第三紀鮮新世)で、コールドロンは鉛直方向にできるはず であるから、その後になってコールドロンが横倒しになるほどの急激な隆起が起こったらしい。 北アルプスは一度に隆起したのではなく何回かにわたって隆起した。鹿島槍ヶ岳や爺ヶ岳一帯を東側に 大きく傾動させるような隆起は140万年前〜 80万年前(第四紀)に起きたと原山教授は考えている。
 朝日を受ける鹿島槍  (槍山頂の気温は  -20 ℃だった。)
 鹿島槍ヶ岳では爺ヶ岳火山岩類の下に位置する花崗岩  (黒部川花崗岩)が現れていて, この花崗岩は爺ヶ岳火 山岩類と複合岩体を成すことが指摘されている。 (マグマが地下から上昇してきて一部は地上に噴出して 火山岩となり残りは地下で冷却して深成岩となった) 黒部川花崗岩の年代はばらつきがあるもののおよそ 200万年前頃(第三紀鮮新世)で、非常に若い花崗岩で ある。(右写真)黒部川花崗岩。大冷沢で撮影。 黒い包有物質(塩基性マグマ)を大量に含む。
(上左写真)爺ヶ岳火山岩類の露頭。扇沢で撮影。  (上中・右写真)爺ヶ岳火山岩類 凝灰角礫岩および溶岩の拡大写真  (右写真)カルデラ埋積物。溶結凝灰岩の拡大写真 <参考文献>  山口佳昭(1999)53回総会シンポジウムポスター要旨集,地団研  原山 智(1999)53回総会シンポジウムポスター要旨集,地団研 原山 智(2005)山小舎カルチャー講演「北アルプスの成り立ち」 (宮坂 晃)
 
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