岡谷市の天竜川沿いには川岸粘板岩と呼ばれる泥質岩が分布している。河川から海(または湖)
に運ばれた砕屑物(地表の岩石が風化・浸食を受けたもの)のうち、粒の大きさが小さいもの
(1/16mm以下)が堆積したものを泥岩(mudstone)と呼ぶ。泥岩が地下で埋積圧を受けると層理面
(堆積面)に沿ってペラペラと剥がれる性質を持つようになり、このような岩石を頁岩(shale)
(pagestone)と呼ぶ。頁は日本語でページと読み(漢字で英語読みするのはめずらしいと思うが)
紙が何枚も重なったように見える様子は、まさにpagestoneである。
この岩石が更に地殻変動によって高い圧力が加わると劈開面(スレート劈開)が発達し、緻密
で硬い岩石になる。このような石を粘板岩(slate)と呼ぶ。粘板岩の劈開面は圧力の加わった方向
に垂直方向に形成されるので、劈開面が層理面と一致するとは限らず、多くの場合斜交している。
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