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木島平村の4つの塚
 木島平村は馬曲(まぐせ)川、樽川の2つの河川が作る扇状地の上に多くの集落が乗っ ている。扇状地の末端付近、木島平中学の周りには大塚、小塚、平塚、根塚と呼ばれる4 つの小高い丘が存在している。これらの丘は大きさや形から古代人が作った古墳に思える が、そうでない。それは、これら4つの丘が赤茶けた火山噴出物から成る一方で、丘の周 囲は扇状地性の砂礫層が広がっているためだ。従って丘は近くの火山の山体崩壊による 流山だという仮説はあったが、その仮説が地元の地質コンサルタント会社(北信ボーリン グKK)によって確かめられた。村に多く存在する深井戸ボーリング結果の分析により、扇 状地性堆積物層中に'pyroclastic'な層が挟まれていることが判明したからである。
   ↑     ↑        ↑           ↑   平塚       根塚       大塚         小塚     山体崩壊を起こしたのは村の南に聳える高社山(1352m)である。高社山は約20〜30    万年前の新生代第四紀に活動した火山である。成層火山だが、周囲にいくつかの寄生火山 が存在し、かつ浸食も進んで複雑な山容である。山の北面の木島平スキー場周辺は大きく 馬蹄形にえぐられており、この部分が山体崩壊したのだという。
  (上写真)大塚(左)と根塚(右)背景は高社山。  4つの塚のうち、根塚は地形を利用して実際に古墳だったようだ。村によって発掘が 行われた結果、この付近ではめずらしい鉄剣が出土し長野県宝となっている。  なお、小塚以外の3つの丘は県下の「最も低い山ベスト5」にランクインしている。 (宮坂晃)

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