切石公園(駒ヶ根市)
駒ヶ根インターから、太田切川渓谷に沿って車で2分の所に”切石公園”がある。 ここは10mになんなんとする大きな石があちこちに散在している。大きな転石にはそれぞれ 固有の名前が付けられていて、「重ね石」「蛇石」「切石」「袋石」などと呼ばれている。  これらの石はすべて花崗岩で、太田切川の上流の木曽山脈から土石流によって運ばれてき たものである。普段の太田切川の流水ではたとえ洪水時でもこんなに大きな石を運ぶことは できないので、運搬力の大きい土石流によってもたらされたと考えられるのである。  上の写真は「切石」。武蔵坊弁慶が試し切りをしたとの伝説がある。
(←)  切石のクローズアップ写真 花崗岩は別名”御影石”と呼 ばれ等粒状組織(=マグマが 地下でゆっくり冷えた)を持 つ白い(=珪長質)石だ。  白い部分は長石や石英など の無色鉱物で、黒い部分は角 閃石や黒雲母などの有色鉱物 から成る。  この花崗岩は木曽駒花崗閃 緑岩と呼ばれ、花崗岩より やや有色鉱物が多い。

 (←)「重ね石」 水平な面を境にして 二つの石がぺったり 重なっている。 この石に触ると難 病が治るとの言い伝 えがあったという。

 (←)太田切川渓谷上流を望む。  晴れていれば宝剣岳が望める。 川原の石は白くほとんどが花崗岩類だ がたまに黒っぽい石もあり、これは領 家変成岩類である。  花崗岩類はよく見ると黒い楕円形の パッチがたくさん入っており、これは 地下深くから花崗岩が上昇してくる際 に取り込んだ周囲の岩石だったり、花 崗岩質マグマに塩基性のマグマが流入 してできる場合がある。
<参考文献> 信州の地質めぐり(1995)地学団体研究会、郷土出版社 伊那谷構造盆地の活断層と南アルプスの中央構造線(1993)松島信幸ほか 改訂長野県地学のガイド(2001)降旗和夫編 信州の活断層を歩く(1998)信濃毎日新聞社編集局編 天竜川上流域地質図(1984)中部建設協会 (宮坂 晃)
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