鴻の巣は、上田市小牧山の南面に位置し、青木層(新生代 第三紀 中新世)の礫岩の厚い 地層が浸食によって削られ、独特の景観を呈している場所である。 崖は南向きで、露出している地層は水平に見えるが、北側に傾斜している。
この地層中のれきはチャ−トや硬砂岩の数 センチ大の円れきばかりから成る。 このような地層は非常に浅い海岸付近の海 または三角州、河口付近の網状河川のような 環境で堆積したものと考えられている。 ここから1キロほど離れた上田工業団地の 工事現場からは東信地区ではめずらしい貝化 石(軟体動物)が同じ青木層から発見されて いる。化石の種類は典型的な青木層よりも別 所層に近い群集であった。 (宮坂 晃)