黒川沿いの地質
 南アルプスへの入り口の一つとなっている南アルプススーパー林道の始発点から戸台までの道は、 非持閃緑岩(トーナル岩)、中央構造線、三波川変成帯、御荷鉾(みかぶ)帯、秩父北帯、戸台構造 帯、秩父南帯を縦断する貴重なルートである。車で1時間あまりの道の傍らに日本列島の歴史を物 語る石がずっと続いている。
 三波川変成帯(結晶片岩類)   南アルプススーパー林道を走るバス  の始発ターミナル付近一帯でよく見ら  れる。   三波川変成帯は主に高圧低温型の結  晶片岩類から成る。このような岩石は  今の地球で考えると、海洋プレートが  沈み込む海溝の奥のような場所で形成  されたと考えられている。 写真はクレヌレーション(ちりめん  じわ)褶曲の発達した結晶片岩。   もともとは中生代ジュラ紀の堆積岩  が白亜紀に変成作用を受けて形成され  た。
 鷹岩の蛇紋岩   石の模様が鷹の羽に似ているのでこの名 がある。   蛇紋岩は超塩基性岩のかんらん岩が変質  してできた岩石だ。また、蛇紋岩は大きな  断層の近傍などにも現れる。   この蛇紋岩体の東側には緑色岩類(緑色  に変質した玄武岩質溶岩など)が分布して  いる。   このあたりが御荷鉾帯になる。
 戸台層の基底レキ岩   戸台に近づくと中生代白亜紀の戸  台層が現れる。写真は下位の秩父帯  に不整合の関係で乗る礫(レキ)岩。  礫は下位の秩父帯由来のチャートや  砂岩などから成る。   戸台層の西側が秩父帯北帯で、戸  台層の東側が秩父帯南帯(三宝山帯)  になる。
 幕岩   秩父帯の最東縁部付近に分布する石灰岩 から成る。この名前は石灰岩が白いので付 いたのだろう。   この石灰岩体の東側には仏像構造線を挟 んで四万十帯が現れる。   写真の中央部に、よく晴れていれば  甲斐駒ヶ岳の秀峰が望める。


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