国の天然記念物「的岩(まといわ)」(上田市)
    上田市から群馬県嬬恋に抜ける鳥居峠から、四阿山(あずまや山)頂上(2333m)へ至る登山 道がある。ここから頂上までは約3時間のきつい登りだ。登山道は長野県と群馬県の県境沿い に付いているが、ここに国を分ける天然の「万里の長城」がある。  県境に屏風のように伸びるこの岩脈は「屏風岩」または「的岩(まといわ)」と呼ばれ、国 の天然記念物になっている。四阿火山にはいくつかの寄生火山があるが、このうちの一つ、的 岩山火山活動時に、マグマが地表に向かって貫入し、そのまま固まったものである。  的岩は幅1〜2m、高さ3〜5m、長さ100mで、岩脈の伸びている方向が火山の中心部方 向になる。(上写真:的岩遠景 下写真:近景)
(左写真)   岩は、あたかも米俵をいく  つも重ねたように見えるが、  これはマグマが冷える際に体  積が収縮し節理が発達してい  るからだ。   この「米俵」の一つが岩脈  から抜け落ちて風穴があいて  おり、昔の武将(頼朝)が弓  を放ったところ、岩に当たり  穴が空いたという伝説がある。
    四阿山からの南方の景色。上信火山の烏帽子岳および湯ノ丸山    <参考文献>       日本の地質「中部地方T」編集委員会編(1988)日本の地質4 中部地方T    信濃毎日新聞編集局(1992)信州すと〜ん記                              (宮坂 晃)      


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