(左上写真)崩壊の中央部に位置する天狗岳。稲子岳は稜線部の山体がずり落ちたものと考えられている。
(右上写真)大月川岩屑流堆積物。白色〜黄褐色を呈し、角閃石デーサイトの角礫を含む。
大月川岩屑なだれは千曲川および相木川を堰き止め,2つの巨大な湖を形成した。千曲川に形成された
湖は最大時には上流10kmに及び、深さ130mあったらしい。10ヶ月にわたって堰き止められて次第に水かさ
が増した天然ダム湖は翌年決壊し下流に大洪水をもたらした。しかし湖の一部はその後100年近く存在し、
最終的に1011年に決壊してなくなった。一方で相木川に形成された湖はその後600年近く存在し続けたらし
いことが古文書から読み取れるという。
地学を研究すると、かつてこんな自然現象が起きたのだということがわかる。そして地球という星の理
解が進む。なによりも、昔起こった事はこれからも起こりうるのだという警鐘をも鳴らしてくれている。
<参考文献>
河内晋平 (1983) 八ヶ岳大月川岩屑流.地質学雑誌,第89巻,第3号
佐久穂町公民館(2011)佐久穂町地学教室見学会案内
小海町ホームページ
(宮坂 晃)
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