善光寺平をゆったりと流れてきた千曲川は、長野市の北端に
来て突然に様相を変える。小高い丘陵部(高丘丘陵、長丘丘陵)
の中に入りこみ、大蛇がのたうち回るように蛇行をくり返して
から飯山市に抜けるのだ。
なぜ千曲川は中野平のもっと平らな部分を進まずに、わざと
丘陵部の中に入っていくのだろうか? それはこの丘陵部ので
き方に関係がある。
そもそも、千曲川は、丘陵ができるよりもっと昔から現在の
河川経路の辺りをまっすぐに流れていた。ところが地殻変動が
起きて丘陵部が隆起を始めた。千曲川は流路を大きく迂回させ
ることなく隆起しつつある大地と格闘しながら大地を削って流
路を確保したと考えられている。このようなものを「先行河川」
(貫入蛇行)と呼ぶ。千曲川がこのように大地の隆起によって
蛇行し流路を確保している場所は、他に佐久市〜小諸市と栄村
付近がある。
(左図)青:河川 緑:平坦部 茶:丘陵および山地
青の破線はかつての流路を人工的に付け替えた部分
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