中野市高丘丘陵(その2)
 高丘丘陵を横切る新幹線工事に伴って、高丘丘陵の成因を物語る珍しい露頭が現れている。 ただし、これらの露頭はまもなく表面をコンクリートで覆われてしまうだろう。見るなら今のうち。  それにしても、活断層を横切って新幹線を通して大丈夫なのだろうか・・・
 上の露頭は中野市田麦で現れたもの。写真の幅は10mほどである。  ここの露頭では左側に垂直な構造の泥岩層がありこの上に不整合で  礫岩・凝灰質砂岩層が乗り、さらに不整合で礫岩層が乗っている。下 の不整合面は傾斜が60度で上の不整合面の傾斜は30度ほどである。 (右図)露頭の概念図  この露頭より、まず湖に地層が堆積し(豊野層)、これが隆起沈降  して最初の不整合面ができる。しばらくして同じようにして2つめの 不整合面ができる。このように間欠式に高丘丘陵が隆起していった事 がこの露頭より読み取れる。不整合面は2つとも東傾斜であるから、 常に西側がより強く隆起していた事がわかる。
 上の写真は立ヶ花で現れている露頭。東側から西方向を向いて撮影。写真では厚い青灰色の泥岩層 の上に茶褐色の礫岩層が不整合で乗っている。不整合面は上のほうではゆるい北傾斜であるが、東側 (手前側)では東側に急傾斜している。不整合面が北にプランジした軸を持つ背斜構造をなしている。  下位の泥岩層は東に急傾斜しているので、もともと東西方向にできた不整合面が後の地殻変動によ って東側の部分が折れ曲がったと解釈できる。この場合も西側の大きい隆起を示している。
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(宮坂晃)
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