木曽谷を下刻して岐阜県に抜ける木曽川は、王滝川が合流する辺りから川原に転がる石は真っ白に
なる。石のほとんどは花崗岩で、晴れた日は谷が輝いて見える。上松には、この花崗岩岩体を木曽川
が削り込んでできた景勝地、寝覚の床(ねざめのとこ)があり、国の史跡名勝天然記念物に指定され
ている。寝覚の床付近では木曽川は川幅がぐっと狭まり、流れも「Zの字」に屈曲している。これは、
河床に現れている花崗岩と密接な関係がある。
花崗岩が冷却するときに体積が減少し、石に”節理”と呼ばれる隙間が形成される。ここでは北東
〜南西方向および北西〜南東方向の直交する2方向の縦方向と水平な方向の節理が発達していて、四
角い積み木を重ねたように見える。このような節理を方状節理という。
木曽川はこの節理に沿って岩体を侵食して深い淵を形成し、流れがゆっくりとなってエメラルド色
の水に白い石が映えるのだ。
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