富士見町の国道20号線を山梨方向に走ると立場川あたりから左手の方向に丘陵が延々と続く。
この丘陵の崖には灰褐色で層理のよくわからない堆積物が現れているが、これは昔は「韮崎泥流」
と呼ばれていた地層で、先端はこのまま山梨県の甲府市の南まで達している。
泥流は、火山の水蒸気爆発などにより山体が崩壊したり、火山噴火によって氷河が溶けて洪水が
発生し、膨大な量の岩塊や土砂が一気に火山の麓に流れ下って堆積したものである。泥流というと
水の介在を想定させるが、「韮崎泥流」の場合は、火山山体の岩塊が山麓の土砂を巻き込みながら
下り降り、水が介在しない乾燥した状態で堆積したことが判っている。このようなものが、噴火時
の高温の状態を保ったまま流下すると「火砕流」と呼び、低温の状態だと「岩屑流」と呼ぶ。
「韮崎泥流」は低温の乾いた流下物であったことが判っており、正確には「韮崎岩屑流」と呼ぶの
が妥当であるらしい。写真は山梨県上教来石付近で南東側を向いて撮影したもの。左側の崖が
「韮崎岩屑流」の堆積物。遠景が富士山。
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