仁科三湖をめぐって
 白馬から大町の間に仁科三湖と呼ばれる湖が南北方向に連なって存在している。 これらの湖は北から青木湖、中綱湖、木崎湖で、どれも流入河川が少ないのに水が減らないのは湖の底 で大量の湧水があるかららしい。三つの湖の西側の仁科山地は中生層(手取層)が分布し,一方東側の 中山山地には新第三系が広く分布している。従って、この三湖の直下を糸魚川静岡構造線が走っている と考えられる。
(左)青木湖

(下)中綱湖と木崎湖
  
 これらの湖の西側一帯には、かつて木崎岩・鹿島岩・青木岩と称されたアルカリに富む独特の岩石が分 布していることで地質学的に知られている。(アルカリ岩=岩石中にNaやKなどの成分を比較的多く含 む石) このなかでも木崎岩は月長石(Moonstone)と呼ばれる銀色〜真珠色の光沢を持つ鉱物を含んでい ることで有名である。木崎岩は木崎湖の西側に露出する流紋岩または溶結凝灰岩で、一部は熱変成を受け ており、かつては石英斑岩に分類されたこともある。 これらの酸性岩は中生代白亜紀の火山活動によってもたらされたものであって、岐阜県に広く分布する 「濃飛流紋岩」と同じ時期の活動と言われている。
  
(上左写真)木崎流紋岩の露頭。小熊山で撮影。  (上右写真)石のクローズアップ写真 薄茶〜灰色の基質中に石英と長石の結晶が目立つ。

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