野尻の中古生層(大桑村)
大桑村野尻の木曽川西岸(野尻川向) には、濃飛流紋岩や花崗岩に囲まれて 美濃帯に属する中古生層が北東−南西 方向に細長く分布している。  ここでは他の多くの美濃帯の構成と 同様に、海溝での沈み込みによる付加 体堆積物が現れていて野尻の宿場跡か ら西側の山に登ると砂岩、泥岩石灰岩 チャートなどの岩塊が露出している。  写真は泥岩とチャートの互層。チャ ートはソーセージのように 細長く伸 び両端が切れていて、このようなもの をブーディン構造と呼ぶ。
野尻の石灰岩岩塊は周囲の火成岩の影響を受けて熱変成し、ほとんどが方解石の結晶体となって いるが、この岩塊にはフズリナ化石が含まれ、黒い石灰岩中に方解石化した白いフズリナが粒状 に見えることから「野尻の米粒石」として昔から名を知られていた。  石灰岩からは Yabeina globosa Yabe 等のフズリナのほかに Bellerophon sp.等の巻貝の化石 も報告されている。いずれも古生代二畳紀の示準化石である。ただし石灰岩は中生代ジュラ紀の 地層の中にブロックとして取り込まれている。 写真は野尻の石灰岩。ひし形をした結晶(方解石)の集合体。どんなに割ってもひし形になる。 (CaCO3の結晶)
野尻から望む木曽駒ケ岳      <参考文献> 永井節治(1985)木曽大桑村向産の巻貝化石について 日本の地質「中部地方U」編集委員会(1988)日本の地質5「中部地方U」 (宮坂 晃)

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