豊科町田沢から四賀村に抜ける道路沿いに大きな採石場(塚原石産)があり、いくつかの 興味深い事実が観察される。
田沢神明宮神社には船石と呼ばれる巨石が奉られている。この巨石をはじめ、松本盆地東側 の尾根部に点在する巨石は、山砂利と言われ、かつてまだ、盆地ができる前に北アルプスの隆 起とともに削られた巨レキが尾根の上まで運ばれてきて乗ったものと考えられてきた。しかし、 ここの露頭を作った際に、基盤の泥岩層(青木層下部)の中から次々と巨レキが掘り出され、 尾根の上に乗る巨レキは、この付近の地層から抜け出たものと判明し、山砂利説は否定された。
掘り出された巨レキ。大きさ は1〜2mはある。写真の巨レ キは花崗岩、チャート、粘板岩 などである。(白い石は花崗岩、 黒い石は粘板岩) 花崗岩は近くの北アルプス由 来のものだけではなく、中央ア ルプスや南アルプスにしか産出 しない花崗岩が含まれている、 という。 数十キロも彼方からどうやっ てこの巨石が運ばれてきたのか 謎が深まる。
泥岩部に含まれる小レキ。レキ種はチャ ート、硬砂岩などで、巨レキとはレキ種 が異なる。また、結晶片岩のレキも含ま れているという。
スランプ褶曲した砂泥互層 スランプ褶曲とは、海底に堆積した土砂が、まだ未 固結の状態の時に 地震や地すべり等によって変形 したもので、変形が部分的であったり、地層(単層) の厚さ変化が著しい、褶曲軸の方向が一定でない、 等の特徴がある。
地層の底面に見られるグルーブ キャスト。海水の流れによって海 底の堆積物が一定方向に流されて できる。写真では右→左に流れが あった。 このようにして、グルーブキャ ストから古流系が推定できる。
サルボウ(Anadara)化石 の密集した部分
<参考文献> 仁科良夫(1991)松本盆地東方,田沢〜大口沢の巨大れきの起源,地質学雑誌, 97巻9号 長野県地学のガイド 降旗和夫編,コロナ社 (宮坂 晃)