大鹿村は村の中を中央構造線が南北に縦断しており、この大断層に関連する地形、露頭や岩石を
間近によく観察でき、村全体が博物館となっている。このなかで、村や教育会の方々によって整備
された2つの露頭は必見である。
安康露頭(写真↑)
村の南側の入り口、地蔵峠は中央構造線の断層鞍部である。峠頂上を通過する道の法面にはかつ
て、断層が現れた。峠を降りきる所に安康露頭がある。道から歩いて3分の青木川河床にこの露頭
がある。この写真は南側から北側を向いて撮った写真で、向かって左側(西側)の赤茶けた岩体は
内帯側の珪長質岩(酸性の火成岩)(カタクラサイト)で、左側の緑色の岩石は外帯側に属する三
波川帯の結晶片岩類である。黒い部分は断層粘土(グージュ)で、三波川帯由来のものらしい。
見てわかるとおり内帯側の岩石と外帯側の岩石が交互に現れ、また、三波川帯中には新鮮なすべり
面を持つ高角な、または東傾斜の低角な断層も見え、中央構造線の複雑な歴史を物語っている。
なお、この写真は岩石の違いをはっきりさせるため、色の違いを多少強調してある。
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