南相木ダム

 南相木ダムは高さ136mのロックフィルダムだ。このダムは多くの石を積み重ねて作られている。積み重ねられ た石はここで産出する石灰岩で、そのためにダム全体が白く輝いている。このダムの頂上は標高1532mで日本一 高いという。  長野県下の秩父帯(三宝山帯)の南限近くでは非常に厚い石灰岩が分布しており、関東山地における秩父帯南 限に位置する南相木村でも村内の随所に石灰岩が露出している。ここの石灰岩は古生代末頃(約2億年前)に日 本のはるか南の海底に堆積し、プレートによって運ばれてきて中生代ジュラ紀に日本列島に付加したものだ。  石灰岩は主に炭酸カルシウムの殻を持つ生物(珊瑚や紡錘虫)の遺骸が堆積したものといわれ、これだけ膨大 な石灰岩の堆積には相当大きなラグーンの存在が必要だ。 
(上写真)上流側から撮ったダム。遠景は天狗山、チャートでできている。山の反対側が川上村。
(上写真)下流側を見下ろしたもの。ダムの中ほどで作業をしている人が二人いるが小さくてわからない ほどだ。下に見えるのは"ウズマクヒロバ"公園。周辺部には層状チャートが現れている。

  ダムの周辺には石灰岩のほか、チャート  も広く分布している。チャートは硬いため  に侵食に耐え、起伏に富んだ地形を作り出  している。   左写真は層状チャート。地層が横臥褶曲  している。チャートは石灰岩にやや遅れて 中生代初め(三畳紀)頃に石灰岩同様海底 に放散虫などの遺骸が堆積してできたもの だ。石灰岩とチャートは秩父帯を特徴づけ る石となっている。  (宮坂 晃)
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