関田山脈の自然(その2)(飯山市)
 (↑)関田山地 赤線:富倉背斜  関田山地は長野県と新潟県の県境に、きれいな円弧を描いて存在している。 関田山脈は富倉背斜を作るような構造運動によって形成されたとされていて、背斜軸は山脈の西側、県 境付近を通過している。富倉背斜は軸面が西に倒れた非対称褶曲とされているが軸の東側にも逆転した 地層が分布していて、山脈を横切る方向で断面図を描くと、ギリシア文字のΩ(オメガ)のような構造 を呈していて、他にはあまり例のない奇妙な背斜構造である。
(上左図)山脈の概念的断面図。右側が東方向。この図は縦横比及び地形などは正確ではない。赤   い富倉背斜軸の両側で地層の逆転部が存在している。 (上右図)富倉に向かう道沿いの露頭。富倉層群のうち、大川層に属する砂泥互層が現れている。   地層は右側に傾斜しているように見えるが、地層は逆転していて、左側ほど上位の地層が現れ   ている。

(左写真)  永江から信濃町に通ずる 道路沿いの採石場の露頭。 ここも大川層の礫岩層が現 れている。先の露頭から9 kmのところに位置している。   ここの地層も逆転してい て、右側ほど上位の地層が 現れている。  このことから地層の逆転 しているゾーンが南北方向 に約9km、幅2kmあること がわかる。
 富倉に向かう道路沿いの礫岩層に架か る滝。その見掛けからそうめん滝と呼ば れる。礫岩層はほとんど直立している。  この滝のすぐ下流の濁池層からは、 キララ貝(Acila insignis)・キリガイ ダマシ(Turritela sp.)・カガミ貝 (Dosinis sp.)などの鮮新世の化石が 採集できる。 (下写真)濁池層産出カガミ貝など <参考文献> 信濃の化石採集の旅(1967)信濃教育会 信濃の地質見学の旅(1973)信濃教育会 (宮坂 晃)

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