1980年代頃から四万十帯は日本の各地で微化石(放散虫)を使った地層の年代決定研究が進み、
堆積した年代が詳しく判明してきた。そして全体の地質構造も明らかになった。四万十帯は一般
的には並走する数多くの断層によって細長く切られ、切られたそれぞれの帯の地質年代は太平洋
側ほど新しかったのである。
こうして、四万十帯は海溝で沈み込む海洋プレート上の堆積物が、陸側のプレートの下側に貼
り付く(付加する)付加体の典型だと考えられるようになってきた。そして、その時こそ地質学
者が古典的な地向斜造山運動論に決別を迫られる時でもあった。
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