松本から上高地に向かう道は主に美濃帯と呼ばれる地質区を通る。美濃帯はかつて日本のはるか南の海
底にあった火山岩や地層がプレートの動きによって日本付近に運ばれ、海溝において日本列島の乗ってい
る陸側のプレートに「付加」したものだといわれている。美濃帯の地層の基本的な順番は、
1.海底に噴出した溶岩(古生代の終わりころの二畳紀)<下図の紫色>
2.火山島の上に形成されたさんご礁(石灰岩の地層)(二畳紀)<下図の灰色>
3.深海底の堆積物であるチャート層(二畳紀〜中生代の初めのころの三畳紀)<下図の緑色>
4.日本の近くの海溝付近において堆積した砂岩泥岩(中生代の中頃のジュラ紀)<下図の黄色>
となっていて、1→4の順に重なった堆積物が、付加する際に掻き回されて時代の違う岩石が渾然一体と
なって存在しているのである。このような堆積物を「メランジェ」という。また、この堆積物は逆断層に
よって何回も繰り返し現れ、断層間の地質帯を「ユニット」とか「コンプレックス」と呼ぶ。
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