長野県の中央部にへそのように諏訪湖が存在する。面積の割には極めて浅く、平均水深は 2mしかない。諏訪湖に水を注ぐ川は十数本あるが、流出する川はたった一本、天竜川だけ である。かつて、この湖からの水は東の釜無川方面に流れていたが、八ヶ岳からの噴出物に よって堰き止められ、南下するようになったらしい。諏訪湖の滞水域は時代とともに消長を 繰り返してきたが、今現在、流入する河川からの土砂がどんどん溜まり、また、人工的な手 が加わって年々諏訪湖は小さくなりつつある。
諏訪湖の成因は地殻変動による構造的なものである。水溜りができるには凹みが必要であ るが、この凹みは諏訪湖の両側にある断層の活動によってできたと考えられている。湖の南 側と北側には糸魚川静岡構造線が分岐して走っており、これらの断層が左横ずれの運動を起 こしたために隙間が空くように凹みができたと考えられている。このようにしてできる凹み のことを'pull apart basin'と言う。(pull=引っ張る apart=分かれる basin=凹み)
諏訪湖の南側と北側を走る断層。 (糸魚川静岡構造線が分岐したもの) 断層の位置は概略的なものである。 また、断層は1本ではなく、何本 も並走、または雁行配列している。
断層が左横ずれの動きをする と、分岐した断層の間にすき間 が開く。