伊那谷断層系(その2)田切断層
 田切断層は駒ヶ根市赤穂付近から始まり飯島町田切を経て中川村片桐付近まで伸びる活断層である。 伊那谷断層系(その1)で述べた松島先生が、「段丘」が活断層の変位地形であることに初めて気づ いた断層で、駒ヶ根市南部でこの活断層による地形変形をよく観察できる。
 駒ヶ根市南部、JR飯田線の伊那福岡駅から西に歩いて5分の馬見塚公園付近で観察される断層 崖。高さ7mくらいある。

 馬見塚公園で見られる崖は、その南の辻沢の谷まで連続する。(上左写真) 河岸段丘であれば、支流の谷まで崖が連続することはない(上中央の模式図)  谷の中まで崖が連続するのは活断層による変位によるものとしか考えられない。また、谷の中の崖 の位置が、上流側にずれることから断層が低角の逆断層であることがわかる。(上右の模式図。赤い 線が断層線)  馬見塚公園の前の市道が辻沢の谷に下る所(上左写真を撮影した場所)にかつて断層の観察できる すばらしい露頭があったようだが、今は残念ながら隠されてしまっている。

(↑)十二天の森の東側の崖も田切断層によるものである。この崖が断層によるものであることを確か めるためにトレンチが掘られ、見事に逆断層が現れた。このトレンチは保存され、解説看板が立ってい る。写真はトレンチの北側の面を撮影したものだが、今は風化も進んで判りづらい。  一般に灰色の砂利層の上に褐色のローム層が重なる層序が、ここではローム層の上に砂利層がのし上 がっているのが観察できる。下のローム層と上の砂利層の間に逆断層が存在する。 <参考文献> 地学団体研究会(1995) 信州の地質めぐり,郷土出版社 松島信幸ほか(1993) 伊那谷構造盆地の活断層と南アルプスの中央構造線 降旗和夫編(2001) 改訂長野県地学のガイド 信濃毎日新聞社編集局編(1998) 信州の活断層を歩く 中部建設協会(1984) 天竜川上流域地質図 (宮坂 晃)

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