喬木村の球状花崗岩(菊目石)
 喬木村の大島は、両側が切り立った狭く曲がりくねった道を登っていった所にある。 ここでは、長野県では2箇所、全国でも数箇所でしか見られない、極めてめずらしい球状 花崗岩(菊目石)と呼ばれる花崗岩が産出する。
  「菊目石は大島の南の毛無山中腹に幅2m  長さ10mの大きさで露出している。   大正11年当時飯田中学校教師北原寛氏が下  伊那地質誌執筆のため調査中に発見した。  花崗岩は酸性のマグマが地下でゆっくり冷却  してできる石だが、この際に塩基性斜長石  (灰長石)を核としてその周りに有色鉱物が  放射状に晶出してできたと言われている珍し  いものである。」(喬木村の解説文より)   菊目石は、昭和50年に県の天然記念物に指  定された。大島では目下、遊歩道を作って  この石を観察しやすい環境を整えている。   写真の球の直径は約2cm  大島まで行く余裕がなければ、村の図書館の  入り口に50cm大の標本が飾ってある。
 喬木村は領家花崗岩帯に位置している。領家花崗岩帯は広く花崗岩が分布しているが、花崗岩 の貫入した時期の違いによって古期花崗岩類と新期花崗岩類に大別されている。(両方とも中生 代の白亜紀のもの) 喬木村の西側には古期花崗岩類の天竜峡花崗岩、東側に新期花崗岩類の生田花崗岩などが分布 している。球状花崗岩は新期花崗岩中に存在している。上の写真は東側の天竜峡花崗岩(片麻状 花崗岩)で、黒い鉱物(黒雲母)が一定方向に並んでいる。いろんな見かけのものがある。 <参考文献> 信州すと〜ん記(1992)信濃毎日新聞編集局 天竜川上流域地質図(1984)中部建設協会 (宮坂晃)
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