上小湖成層
  上田盆地の地下には上小湖成層と呼ばれる新  生代 第四紀の湖に堆積した地層が見られる。   この湖成層は堆積した時代の違いにより、  古期上小湖成層及び新期上小湖成層に区分され、  古期上小湖成層は上田盆地の周辺部の比較的高  いところに分布し、新期上小湖成層は盆地の中  央部の低地、塩田平の川沿いなどに露出してい  る。   かつては塩田平の小河川の河床の所々で現れ  ていたが、河川の改修工事により年ごとに露頭  は減っている。   写真は千曲川にかかる上田橋の下に見られる  新期上小湖成層で、水平な砂泥互層、礫岩層な  どから成る。(高さ1.6m)   小牧橋下に現れているこの地層の年代を測っ  たところ、2万8000年前という値が得られた。
 塩田平に分布する新期上小湖成層の地層中からは下本郷および青木村塩入からナウマン象の化石 が産出している。また、これら以外に馬の化石なども見つかっている。今から数万年前の千曲川沿 いでは佐久、上田、長野などに湖沼が存在し、大型の哺乳類と、これを追う古代人が往来していた らしい。左上写真は上田市下本郷産のナウマン象臼歯化石。右上写真は青木村産出のヘミオナス馬 左下顎化石。これらの化石は上田博物館で見ることができる。
 地球では水の循環によって大地にさまざまな変化が起こる。  一般に水の流速が大きいところでは浸食が、流速の小さいところでは堆積が起こる。従って、 山間部のような流速の大きい場所では大地は削られ、河川が平野や盆地に出てきた所及び河口付 近では流速が遅くなり堆積が起こる。写真は、この水の大地に対する作用を示すもので、水面よ り高い所は削られて谷ができ、水面下では削られた土砂が堆積して、扇形の堆積地形が形成され ている。この写真は、上田橋下の堤防工事現場で見えた上小湖成層中に現れたものである。 (横の長さ約1m)
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