塩尻市 善知鳥(うとう)峠の石灰岩岩体
 塩尻市から辰野町に向かう途中の善知鳥峠には石灰岩岩体の大露頭がある。この石灰岩の 中には古生代のウミユリやサンゴなどの化石が含まれている。  このあたりの地層は美濃帯と呼ばれるが、中生代三畳紀〜ジュラ紀に堆積した砂岩泥岩互 層の中に、この古生代の石灰岩体がブロックとして取り込まれているのである。写真は露頭 の全景。右側の灰色っぽい部分が石灰岩。左側の褐色の部分は泥岩(粘板岩)である。 石灰岩は炭酸カルシウムが主成分でセメント原料に使われたりする。
 露頭をよく見ると、この石灰岩 は層状に重なったものではなく、 数m大のブロックの集合体である ことがわかる。
 この露頭ではウミユリ(海百合)の化石がよく見つかる。直径3mmほどの白いド−ナッツ型 したものがウミユリの”茎”の部分である。ウミユリとはいうがヒトデやウニの仲間の動物 (棘皮動物)である。(写真 下左)  また、この露頭では炭酸カルシウムの結晶も見つかる。オ−ソドックスな六面体をした 方解石の他に、柱状の結晶が放射状に拡がったものが拾える。(写真 下右)
<参考文献> 田中邦雄監修(1983)松本盆地の生い立ちを探る 松本市・東筑摩塩尻・南安曇・北安 曇教育委員会 長野県地学会編(1962)20萬分1長野県地質図説明書 改訂版(内外地図株式会社)                             (宮坂 晃)
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