八ヶ岳(2)蓼科山

 蓼科山(2530m )は八ヶ岳最北端の山で、南側の茅野方向から眺めると三角錐型の美しい山であ るが、北側の佐久方向からは「お供え餅」のような二段構造をしている。この見え方の違いは蓼科 山のでき方と密接な関係がある。佐久側から見える台座のような平たい山は前蓼科山と呼ばれ、こ の山は角閃石安山岩溶岩からなる火山である。この溶岩は色が白っぽく粘性が大きく、溶岩円頂丘 と呼ばれる火山体を作る。蓼科山周辺には北西−南東方向に伸びた尾根を持ついくつかの溶岩円頂 丘火山がある。蓼科山の中にも、これと同じ方向に伸びた同じ岩質の古い火山が存在し、この上に 輝石安山岩の溶岩が表面を覆って蓼科山が完成した。ちょうど、チョコレートシロップのかかった 「かき氷」のような構造を呈している。最後に山体を覆った溶岩の末端からは溶岩中にしみこんだ 雨水が泉となって湧き出し(たとえば弁天神)、立科町の田畑を潤している。  古東山道はこの山の麓を通っているが、秀麗な姿は昔から信仰の対象になったらしく、いくつか の遺跡が存在している。(たとえば鳴石遺跡)

 蓼科山に登るには大河原峠から 登るのが一般的であるが、大河原 峠付近では、古期八ヶ岳の噴出物 (春日凝灰角礫岩)中に貫入した 多数の溶岩岩脈が観察できる。  これらの岩脈の貫入方向も、小 断層の方向もほとんどは北西−南 東方向である。

  (写真上左)   角閃石安山岩。この白っぽい石が蓼科山の土台を構成 している。黒い鉱物は角閃石。白いのはほとんど長石。  (写真上右)   北八ヶ岳には池が多数ある。山頂付近にこれだけの池 がある山も珍しい。これらの池は新期八ヶ岳火山活動で 流れ出た溶岩がくぼ地をせき止めてできたもので、池の 周りには黒い溶岩塊がごろごろしている。池めぐりをす るのも楽しい。  (写真左)   クモマベニヒカゲ(高山蝶) (宮坂晃)

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