第一章











前回のあらすじ
月に起きた異常を個人的に探索するために再び旅に出たガロードとティファ。
2人は大規模なオルクのいるらしいシュギ村へと向かう。
そして2人はある一人の巫女・ジュジュと出会った。
そしてその夜、風呂に入っていたティファは、先に浸かっていたジュジュに会う。
「飽きたから抜け出してきた」というジュジュは、ある願いをティファに告げた・・・。




ティファ「ねがいって、何なの?」

上章からずっとバスタオル一枚で仁王立ちし続けるジュジュにティファが聞いた。」
ジュジュ「実は・・・その・・・・。」

急に語勢が弱くなるジュジュ。かなり言いにくそうである。
ジュジュ「私を・・・・私を一緒に宇宙へ連れてって欲しいの!!!!!!」

驚愕の表情を見せるティファ。「できません。」というつもりだったが、ジュジュの潤んだ目を見て
躊躇した。

ティファ「私一人では・・・決められません。私の・・・大切な人と話がしたいので・・・。」

ジュジュ「わかった。まってるわ!!」

ティファとジュジュが浴衣姿で客席に待っていると、男湯から足を引き吊りながらガロードが歩いてきた。

ガロード「おう、先に出てたのか。っっって、その子!!!」

ジュジュ「ジュジュ・クー・シュナムル。ジュジュで結構よ。」

ガロード「俺はガロード・ラン。ガロードで結構だゼ。って何でジュジュがこんな庶民の宿にいるんだ?」

ジュジュ「あっちの風呂飽きたから、ここに抜け出してきたのよ。」


ティファ「・・・・・じつは、ジュジュから相談を受けたんです。」

ガロード「・・・・・・・・・・なにぃ?ジュジュを一緒に連れてけと?」

ジュジュ「そう。私はこの巫女という役職に誇りを持ってる。
だけど私はいつも教会暮らしで、友達もあまりできないし、外のこともあんまり知らない。
・・・だけど、2人はいろんな所を旅してるでしょ?だから私も旅をしてみたいのよ!!!
そしてもっと友達も作りたいし、外のこともっと知りたいの!!!
毎日教会暮らしじゃ私退屈で退屈で死んじゃうよ!!!」
ジュジュが取り乱し、叫んだ。

代々教会主をつとめるシュナムル家に生まれてきたが故に教会暮らしを強制されている
ジュジュの悲痛な本音であった。
さすがに2人も反論できない。特にティファは
「ニュータイプの力を持つが故に研究所での暮らしを強制された」
経験を持つので、ジュジュの叫びが心の奥底に響く。

ジュジュ「どうせ・・・・私なんか・・・・ひっく・・・・うわぁっっっぁぁぁぁぁん!!!」
ついに泣き出すジュジュ。
それをティファが優しく抱きしめる。

ティファ「ジュジュ・・・、私にもその気持ちよくわかる。私も一年前は研究所暮らしだったから・・・。
でもね、ジュジュ、素性の知れない私と違って、貴方はシュギ村にとっても大事な人なの。
みんなが貴方のことを尊敬し、愛しているの。
だからジュジュにはケガして欲しくない。だから貴方をこの村から出さずにいるの。それをわかって・・・。
それに、貴方を冒険に連れていって貴方がケガをするようなことがあったら、2人じゃ責任を・・・、」
ジュジュ「ひっく・・・・大丈夫だもん・・・。だって・・・私なら・・・
自分で自分を守る術を知ってるから・・・・・。だから・・・・旅・・・連れてってよぉ・・・・・。
御願い・・・・!!」

それでも引き下がらないジュジュに、考え込む2人。


ガロード「・・・・よし!わかった。ジュジュを連れてってやろう。」

ティファ「ガロード!!!」

ガロード「ただし、しっかりと親の承諾を得てからだ。」
黙りこくるジュジュ。
どうやらわけありのようだ。

ジュジュ「親は・・・いないの。」

ティファ「なぜ・・・・?」

ジュジュ「お父様は、わたしの誕生日の2日前、「プラトー教狩り」に対抗してMSに乗り出撃したの。
お母様の話では、シュギ村を直接攻めてきた60機のMS相手に、わずか4人の仲間で戦った。

そして、お父様は教会の壁になろうとして・・・。」

ティファ「辛かったら、言わなくて良いのよ・・・。」

ジュジュ「お父様のMSが爆発したとき、炎から真っ赤な鳥が現れたんだって。」

ティファ「唯一神・・・プラトー・・・・」

ジュジュ「そして、残り7機は、その鳥を見て震え上がったと言ってた・・・。」
そしてその鳥はお母様のお腹の中に・・・。」

ガロード「まさか・・・!!!」

ティファ「ジュジュの予知能力はお父様からの血のギフト・・・。」

ガロード「血の・・・ギフト?」

ティファ「彼女はニュータイプじゃないけど、私と同等、もしくはそれ以上の力を持ってるの。」

ジュジュ「そして、お母様も私が5才の頃・・・・。」
ジュジュの瞳が潤む。

ガロード「そうか・・・。どうしようかティファ・・・。」

ティファ「私達の名前を添えた置き手紙をおいてはどうかしら。幸いジュジュの親衛隊長は、
私達のことをよく知ってるわ。」

ガロード「それって、まさか!!!!」

ティファ「そう。ジュジュの親衛隊長は2人・・・。あの兄弟よ。」

ガロード「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

ジュジュ「貴方には言わないでおこうと思ったけど、仕方ないわね・・・・。
2人は戦後3ヶ月ぐらい経ったある日、ここに来たわ。
(今はA.W:0016、5月21日。終戦日がA.W0015、12月26日)
2人は一週間ぐらいなにも口にしてないみたいだったから、私は部下に命じて、その2人に
ごちそうしてあげた。そうしたら、私が巫女だと知って、教義を教えて欲しいと言ってきたわ・・・。

「天地に乱起き、大地裂けるとき、裂け目より鳥が現れ、
信じる者を聖地「アナスタシア」へと運ぶであろう。」
そしたら、是非とも私の「しもべ」になりたいって、いってきたの。
良くわからなかったけど、2人の目は澄んでたから、「しもべ」にしてあげたわ。
あの2人、せっかくの魔力をテレパシーなんかに使ってるから、私が修行してあげたの。
フロスト兄弟はMSのパイロットにならずに、僧侶か何かになった方がよかったのかもね。
すぐに呪文覚えて、他の部下は腰抜かしてたわ。
そして、スピード出世で今は私の親衛隊長になったの。心配ないわ。今の2人はガロードに攻撃する意志はない。
だけど、「まだうらんでいるのではないか」って、逆に2人が怯えているわ。」

ティファ「こっちも攻撃する意志はないってことを証明するために、一旦会いにいく?」

ガロード「ああ、もう戦争は終わったんだ。しかし、やっとあの2人、居場所ができたんだな。」

そして

Dear Frost bros.
(フロスト兄弟へ)

We're your rival before.
(俺達はかつてのお前達の敵だ。)

We saw Ms.Juju by chance in a place.
(俺達は某所でジュジュ嬢に偶然会った。)

Ms.Juju cried out "I want to make friends more and to know other world!!"
(ジュジュ嬢は「もっと友達も作りたいしもっと世界を知りたい!!」と叫んでいた。)

We felt pity for her,so we thought we go to trip with Juju.
(俺達はジュジュを可愛そうに思って、ジュジュを旅に連れて行ってやろうと考えた。)

Don't worry!! We surely protect Juju's life.
(心配するな!!ジュジュの命は俺達が必ず守る!!)

However,We want to meet you too.
(だが、俺達はお前達とも会いたい。)

So would you come "Shugi-Village hotel" tomorrow A.M 9:00?
(そこで、明日九時に「ホテル・シュギ・ヴィレッジ」まできてもらえないか?)

There're Juju  with us there.
(ジュジュ嬢は俺達と共にそこにいる。)

From the greatest mobile suit pilot Garrod Ran@
(最強のMS乗り ガロード・ラン @(指紋))

and my important lover Tiffa Adile@
(そして俺の大切な彼女 ティファ・アディール @)

Virgin in service of the Platianity "Lunar'' Juju koe shunarmlle@
(プラトー教の巫女「ルナー」 ジュジュ・クー・シュナムル @) 

Landlady of "Shugi-Village hotel" Izavel Cristina@
(「ホテル シュギ・ヴィレッジ」女将 イザベル・クリスチーナ @)

念のため、ジュジュと宿の女将にもサインしてもらった。

ティファ「できたわよ。ガロード。」

ガロード「よし、これを教会に投げ込んでおけば大丈夫だ。」

ジュジュ「でも、女将さんの名前が『イザベル・クリスチーナ』だったなんて・・・。」

みな、内心で女将である50代ほどのおばさんの可愛すぎる本名に驚いていた。

朝6時、眠気なまこのシャギアとオルバは、不寝番から渡された
手紙の内容を呼んでコーヒーをぶっと吐いた。

シャギア「我々の寝ているうちに、なんてことだ!!」

オルバ「兄さん、どうする?」

シャギア「決まっている!ワナであろうが無かろうが、ジュジュ様は救わなければならぬ!
ましてや、あの2人と旅などと!!」

オルバ「了解、兄さん。」

シャギアとオルバは、肌身離さず赤青二つの本を持っている。
赤は普通の聖書で、2人はこれの中の一節を引用することで、簡単な魔法がつかえる。
しかし青には火薬式に比べると発射音が遙かに小さい電磁加速式リボルバー、
さらにボタン一つで300℃近くの高温を出すコンバットナイフが仕込まれていた。
2人はそれらを丁寧に点検し、異常がないことを確かめる。
そして、兄は風よけ用のマントをはおった。
全ての準備が整い、2人は宿へと旅だった。

シャギア「ガロード・ラン。出てこい。」
三人がそろって出てきた。

ガロード「要件はわかってるな?」

シャギア「断る。」

オルバ「ジュジュ様はプラトー教にとっても大切なお方だからね。
傷つけるわけにはいかないよ。」

オルバは青の書からRリボルバーを取りだし、ガロードに向けた。
だが、ジュジュが前に立ちガロードを遮る。

シャギア(下ろせ!オルバ!)

オルバ(でも兄さん!)

シャギア(お互いを傷つける時代は一年前に終わったのだ!それともジュジュ様の
お体を貫くつもりか!!!!)

オルバ(くっ・・・!)
オルバが銃をしまう。

シャギア「ジュジュ様、なぜそのような者と行こうと思うのですか・・・。
貴方はまごうこと無きプラトー教の巫女・・・・」

ジュジュ「分からず屋!」

シャギア「なっ・・・!」ジュジュに叫ばれ、言葉を失う。

ジュジュ「あたしだって、巫女巫女言われてるけど・・・。」
ジュジュは波動砲のように空気をため込み、放った。

ジュジュ「ただの人間なのよぉ!!」
そのあと数秒、その場を静寂が支配した。

シャギア「ふっ。どのような力を持つ物であれ、所詮中身は人間だな・・・。」

ガロード「どういうことだ?」

シャギア「ジュジュ様の外出の件、みとめよう。」

ジュジュ「ほんと?」

オルバ「ただし、ガロードとティファは何があってもジュジュ様のお体に傷を付けないようにすること。
もしもジュジュ様を傷つけ、辱めるようなことがあったら・・・。」
オルバは青の書を持って軽く脅しを掛ける。

ガロード「この『最強のMS乗り』がそんなへまを犯すものかよ!」

ティファ「ジュジュちゃんは私達がきっとお守りします。」

シャギア「・・・交渉成立だ。」

ガロード「・・・ああ。」

シャギア「そして、我々が戦ってきた忌まわしき歴史も、ここでピリオドを付けようではないか。」

ガロード「何!?」

オルバ「僕等は君達に復讐されるんじゃないかって怯えて暮らしてきた。
ここで和解すれば、おたがい安心して暮らせるんだよ。悪い話じゃないはずだよ、ガロード君。

ガロード「・・・良いのか?ティファ・・・。」

ティファ「確かに私は彼らに殺されかけたわ。でも・・・、もうそれは過去の話よ。
今みんなはこうやって新しい生活をしてる。だから悲しい過去は決着付けて、
新しい生活を共に築くことを望むわ、ガロード。」

ガロード「・・・よし!!和解だ、フロスト兄弟!!」

シャギア「和解も成立だな。」

ガロードはシャギア、つぎにオルバと固く握手をした。この握手は同時にガロードとフロスト兄弟
の長い因縁関係の終焉を意味していた。

シャギア「今日はこの宿で休むといい。念のため我々も泊まらせてもらう。」

オルバ「僕たち五人の泊費はこれで足りるよね、イザベルさん。」
と、オルバは金塊を五本差し出す。

夜。
ジュジュ「えっと、足りないものはと・・・。聖書に「三日月十字」に替えの服に・・・・・。」
女性の身支度は非常に時間がかかる。

ティファ「ジュジュちゃん・・・。明日起きれなくなっちゃうわ。」

ジュジュ「いいからティファは先に寝てて。」
ジュジュはアドレナリン過剰放出気味である。

シャギア「オルバよ。『例のブツ』の完成状況はどれくらいだ?」

オルバ「あと数週間で完成するようだよ。」

シャギア「また必要になったとき、いつでも呼べるようにしておかないとな。」

オルバ「うん。」


夜十時。昼活動する物の世界が夜行性の物に取って代わられる時間。

・・・だが、この日ばかりは違った。

「ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジ!!!!」
けたたましいサイレンの音が鳴る。

シャギア「侵入者か!!」

オルバ「ねらいはジュジュ様だね!」
2人は側に置いてあったヒートナイフを握り、ティファとジュジュの寝ている部屋へ向かう。

ガロード「なんだなんだなんだ!!」

シャギア「ガロード!ジュジュ様の部屋に侵入者だ!」

ガロード「何だって!」
三人でジュジュ達の部屋にはいると、何か揉み合うような音がした。

シャギア「くせ者!!」
三人が部屋になだれ込み、シャギアがナイフを曲者に突きつける。
だが・・・。

??????「ひゃひゃひゃひゃひゃ!!これでも攻撃できるかい?」
見ると曲者は気絶しているティファに首筋に足を当て、同じく気絶したジュジュの口腔に
銃をあてている。切ろうものならティファの首を踏み付け窒息死させ、
さらにジュジュの体に容赦なく弾を撃ち込む算段であろう。

シャギア「・・・・貴様!」

??????「さあ、ナイフを捨てろ!銃の弾も抜け!!」

オルバ(どうする?兄さん。)

シャギア(『弾を抜く』だけが要求なら、彼の読みも甘い物だな。)

オルバ(・・・ッてことは。)

シャギア(銃を、「パラライズモード」に切り替えろ。パラライズモードなら弾を使う必要はない。)
パラライズモードとは電磁加速式リボルバーの機能の一つで、至近距離(〜5m)に衝撃波をとばし、
「携行武器をはじき飛ばす」「相手を気絶させるか動けなくする」などの効果がある。
2人は弾を抜き、こっそりとスイッチを切り替えた。

オルバ「ほら、弾は抜いたよ。」

シャギア「だが!!」
2人は銃爪を引き、衝撃波をとばした。オルバの衝撃波は相手の銃に命中し、シャギアの衝撃波は
相手の足を捕らえた。曲者はもんどり打って倒れた。

ガロード「隙あり!!」

ガロードはティファを抱き寄せ、ジュジュの腕も掴もうとしたが、曲者に阻まれた。

??????「ひゃひゃひゃひゃひゃ。こいつだけでもいただいてくずぇ!!!!」
窓からジュジュを脇に抱えた曲者は片足を引きずりながら逃げ出した。

ガロード「くそ!!」

オルバ「どうする?兄さん!!」

シャギア「明日我々の親衛隊を率いて大々的な捜索を行う!!」

ティファ「その必要はないわ。」
と、ティファが落ちていた名刺を出す。
「村立小学校教授:マン・ドラゴラ」
と書かれていた。

ガロード「村立小学校?ってことは、もし今の事件がマンドラゴラの「趣味」だったなら、
村立小学校は彼にとって絶好の「ハンティングサイト」になってしまう!!」
シャギア「人の風上にもおけぬ輩め、始末してくれようぞ!」

こうして、ガロードとティファ、フロスト兄弟はジュジュ救出のために、
一路村立小学校へ向かうことにした。

第一章・下に続く