第二章・中其の一











前回のあらすじ
大海原にこぎ出した三人は、
思わぬ事故によりコロニーに辿り着くことになってしまった。


ガロード「・・・・・。」

ティファ「・・・・・。」

ジュジュ「・・・・・本当に、コロニーなの?」



???「あの三人、驚くのも無理はありませんね。」

?????「ああ、戦後私の治めるコロニーでは全て改築作業が行われた。」

???「貴方の趣味丸出しですよ。」

?????「コロニーは性質上、森林の存在が不可欠だ。だが、以前のコロニーの町並みでは、
どうしても森林と相性が合わなくてな。」

???「それで、あのような町並みにしたと・・・・・。」

?????「そのとおり。で、漂流者の名前は?」

???「ガロード・ラン、ティファ・アディール、ジュジュ・クー・シュナムルです。」

?????「!」

???「いかが致しますか?」

?????「今すぐ迎えに行きたい、と思ったが、しばらくは勝手にやらせておけ。
アイツ等に今のコロニーを見てもらいたいからな。」

???「御意。では総領主閣下!!」

?????「頼むぞ。」



ガロード「なんだよ、前にガンダムでコロニーに入ったときと全然違う・・・・・。」

ティファ「昔の時代にワープしちゃったみたい。」

ジュジュ「コレじゃ、西暦時代の巴里(パリ)だわ・・・。」

街には電線が無く、道も広めに取られている。エレカは現代式と旧産業革命時代のレプリカが並行していた。
家はレンガ造りのようで、コロニーの自然とうまく調和している。街の人々は皆ガロード達と同じような服を着ていた。



???「その通り。ここは総領主様が戦後手入れをして、完全に作り直した街なのです。」

ジュジュ「・・・・・いい趣味してるじゃん。」

ティファ「それに自然も前より増えてるようですし・・・・・。」

ガロード「綿密に計画して作って有るみたいだぜ。」

???「ここは、いいえ旧クラウドナイン・現ムスペルヘイム宇宙国家は全てこのように改築されたのです。
景観を損なわぬよう電線は全て地中に埋まり、軍事施設は全て軍事コロニー「ヴァルハラ」に集約されました。
そして、以前の無粋なビルなどは全て撤去、旧西暦時代の建築様式「ロココ」を取り入れた華やかかつ軽快な住居
として新築しました。」

ガロード「それにしても、あの城はやりすぎだとおもうぜ。」

???「あれはポトマ宮殿。宮殿といっても王がいるわけではありません。まあ、国会議事堂とでもいう物でしょう。」

ジュジュ「あれ?この国は「ムスペルヘイム」から独立してんの?」

???「いいえ。ここは自治共和国ですから、有る程度は好きなように出来るのです。」

ガロード「じゃ、そろそろ行こうか。」

ティファ「ええ。」

???「いこうかって、アレ直すのに1ヶ月はかかりますよ?」

ジュジュ「ええっ?」

???「幸い金はいくらでもあるようですし、いっそのこと1ヶ月ここで・・・。」

ガロード「いや、急ピッチで頼む。」

???「・・・・・分かりました。」

ガロード「よし!!行くか!!」

三人は凱旋門(コロニー税関局)を出て、巴里の街を歩き始めた。




ガロード「で、どうする?」

ジュジュ「まずは服を買いましょ!ここでこのローブじゃ目立っちゃう。」

ティファ「それもそうね。幸い金には困らないですし。」

ガロード「そうだな!」

たったこれだけの会話で、つぎの行動が決定した。三人は一路最寄りの呉服店を見つける。
名前は「エクール」。


エクール「いらっしゃいませ!!きょうは・・・わお、若い親子!!」

ガロード「ち、違う!!俺達まだ16だって!!」
必死に否定するガロード。

ティファ「この年で親子なんて・・・、早すぎます・・・。」
ティファも真っ赤になる。

ジュジュ「私は11よ。」
この言葉の裏には「16才の夫婦が11才の娘を持ってるなんておかしいにきまってんだろ!!!」
という意味が込められているのは言うまでもない。

エクール「ゴメーン。で、今日はどんな格好を?」

ガロード「いや、ふつーに御願いします。」

エクール「了解いたしました♪」

あっという間に、三人の更衣が完了する。

ガロード「おお!!」

ティファ「可愛い・・・。」

ジュジュ「これで町中歩ける!!」

エクール「お会計は25000円でーす。」

ガロード(何故ゆえに「円」?)


ティファ「ではこれで・・・。」
ティファはシャギアにもらった例のクレジットカードを差し出す。

エクール「ハーイ。クレジットカードですね。残金は・・・・・。」

ジュジュ「・・・・・。」

ティファ「・・・・・。」

ガロード(そりゃそうだな。何てったって残高3億$・・・。)

エクール「・・・・お買いあげ有り難う御座いました・・・。」

ガロード「じゃあ、いつかくるぜ!!」

エクール「はい・・・。」

ジュジュ「有り難う御座います!」

エクール「ええ・・・。」
クレジットカードによりスピリチア(生体エネルギー)を吸い取られたエクールは半ば抜け殻になりながら
三人を見送るので有った。


ガロード「さて、つぎは・・・。」

ティファ「観光名所とか・・・。」

ジュジュ「ここの教会行って私のプラチナ三日月十字見せれば、泊めさせてもらえるわよ。」

ガロード「じゃ、まずは教会に・・・。」

「行って、寝床を確保するか!」といおうとしたその時、
ドリフトしながらベンツが目の前に急停止してきた。



???「ちょっとそこの三人!!何でこんな所をうろついているザマス!」

ティファ「え?」

???「言い訳は聞かないザマス!!!さっさと来るザマス!!」

ガロード「おい!!ちょと待て!!」

???「言い訳は聞かないと言ったザマス!!!」

突然乱入してきたおばさんに捕まり、ベンツに押し込められ、三人は何処かに運ばれてしまった。

ガロード「お、おい!!何処行くんだよ!!おばさん!!!!!」

???「お、おば・・・・・!!!

もぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ許さないザマス!!!!!!!!
ポトマ学園に着いたらタップリ油絞ってやるザマス!!!!」



3人「ポトマ学園?」























???????「こっちへ来るザマス!!」

ガロード「何だいったい。」
三人はとある部屋に案内された。

???????「どうしてあんな所にいたザマスか?」

ガロード「どうしたって・・・。服屋で服買っただけだけど。」

ジュジュ「私達、何かした?」

ティファ「特に怪しいことは・・・。」

アーデンベルグ「私はアーデンベルグ全くこの子は園長の名前も覚えていないなんて!!!!
まぁいいザマス!!!!!と・に・か・く、子供がこんな時間に外に出ているのはダメザマス!」
園長はついに切れた。

アーデンベルグ「この国では子供は皆学校に行くって決まってるザマス!!」

ガロード「う、嘘・・・。」

アーデンベルグ「それなのにあなた方は学園にも来ずそんなところで!!」

ガロード「ストップ!!俺達ここの国民じゃないぜ!!」

ジュジュ「これ見なさいよ。」
と、ジュジュはティファのバックから残高三億のクレジットカードを取り出す。
そこには、
「北アフリカ地区シュギ村 プラトー教教会勤務 シャギア・フロスト」
の文字。

ジュジュ「そしてとどめにこれ!」
ジュジュは自分の住民票を取り出す。

NOID:EARTHNOID
CONTINENT:NorthAfrica 
CITY:Shugi-Village 
PlatianityChurch”LUNAR” 
NAME:Juju Koe Shunarmlle
BIRTHDAY:A,W:0005 Desember 18 
SEX:Female
TYPE OF BLOOD:A

ノイド:アースノイド
出身大陸:北部アフリカ
出身都市:シュギ村
プラト-教教会「ルナー」
名前:ジュジュ・クー・シュナムル
誕生日:AW0005年12月18日
性別:女 血液型:A

アーデンベルグ「う、嘘・・・。貴方が、あの霊力豊かなことで知られる・・・。」

ジュジュ「はいストップ!ここにいる限りは「ジュジュ・F・ジーナス」って名乗るわ。」
「F」の意味は不明だが、「ジーナス」は「Genius(天才)」の意味だろう。

ガロード「ここではって・・・。」

ジュジュ「そう。私はちょっとの間ここに留学するわ。」





ガロード「ええええエエエエええええエエええええええエエエエ絵でエエエエエエエ絵ッ!!!」

ジュジュ「どうせ一ヶ月間はここを出れないんでしょ?」

ガロード「そりゃそうだけど・・・。」

ティファ「いいじゃないガロード。何もしないでここの市民に怪しまれるよりはマシでしょ?」

ガロード「まあ、そりゃそうだが・・・・。」

ジュジュ「じゃ、決定!!アーデンベルグ園長先生、この三人御願いします。」

アーデンベルグ「ふふふ。そうこなくっちゃザマス。」

ガロード(今更学校かよ・・・。)

ティファ(逃げちゃダメよ、ガロード。)

ガロード(いきなり人の心を読むな!)

ティファ(ふふふ♪)

こうして、ガロード・ラン、ティファ・アディール、ジュジュ・F・ジーナス(ジュジュ・クー・シュナムル)
の三人は、一ヶ月間ポトマ学園に留学することになった。ちなみに(なぜか)特待生のため
学費は免除である。


次の日。

ガロード「あ~あ。めんどくさ・・・。」

ティファ「ダメよ。ガロード。」

ガロード「唯一の救いが、この学園が私服OKだってことぐらいだなぁ。」

ティファ「セーラー服着てみたかったのに・・・。」

ガロード「あとでエクールに作ってもらえば?」

ジュジュ「エクールなら、『店主がスピリチア不足のため休業』だって。」

ガロード「そんなショックなこと有ったのか?」

ティファ「どうかしら。」


ちなみにポトマ学園とは、第7次宇宙戦争直後に革命軍のザイデル総統により作られた教育施設である。
(当時の名称「クラウドナイン宇宙革命軍立ポトマ学園」)
元々軍立だった物を、A・W:0005に資産家の妻であるアーデンベルグとランスロー大佐が
協力して買い取った(当時、ランスロー大佐が協力したことは極秘事項となっており、戦後公表された)
その時にザイデルによるニュータイプ思想の彫り込み教育も中止された。
小学校から大学までの一貫性で、その土地はポトマコロニーの100分の1に当たる5.65㎡にのぼる。
小学生1200人(校舎4棟)、中学生800人(校舎3棟)、高校生900人(同)、
大学生800人(校舎3棟+研究棟)。教師も400人以上いる。
中学入試は200人、高校入試は300人、大学入試は200人受け入れる。
そのほかには学生寮3つ、教師寮2つ、体育館3つ、
食堂も6つ、大学病院などがあり(ちなみに食堂といってもかなり豪華であり、
休日には2つの食堂がファミレスの役割を果たす。)
ほぼポトマコロニーの中枢をになっていると言っても過言ではない。


ポトマ学園エレメンタリーコース5年3組(E5-3)
この学園は基本的に少人数制であり、多くても25人の生徒によって構成される。

ジュジュは教師に案内されて、E5-3にやってきた。
200mはあろうかという廊下に、疲れるジュジュ。









エルム「今日はこのクラスに一ヶ月間留学する生徒を紹介します。
はいってくださーい!」

ゆっくりとドアを開けて、緊張な面持ちのジュジュが入ってくる。

ジュジュ「ジュジュ・F・ジーナスといいます。よ、よろしく御願いします・・・・。」

エルム「皆さん、仲良くして下さいね~。」

男子生徒(へ~、ジュジュちゃんか・・・。結構可愛い子じゃん。)

・・・すでに下心むき出しである。
心を感じ取ったジュジュは、少し顔をしかめたが、気付かれはしなかったようだ。

エルム「じゃ、ジュジュちゃんそこの席に座って下さいね。」

ジュジュが指定された席の隣の席には誰も座っていない。

ジュジュ「あの・・・、私の隣の人は・・・。」

エルム「ああ、そこの人ね。もうそろそろ・・・・。」





??「さあ始まるぜSatuaday Night! 調子はどうだい」
突然歌が聞こえてきた。どうやら近づいてくるらしい。

ジュジュ「???」

エルム「やっと来たわね・・・。」

??「Stand Up! ビートを感じるかい?

ここは空飛ぶパラダイス 忘れかけてる Energy

Now Hurry Up!! 取り戻そうぜ」

歌は続く。中にはくちずさむ生徒も出てきた。

??「No More Wast’in Time まるで夢のように

何もかも 流されてしまう前に」

知らぬ間に口ずさんでいる自分に驚いているジュジュがいた。
その間にも、どんどん近づいてくる。

??「Hey Everybody!! 光を目指せ

踊ろうぜ! Dancing On The PLANET DANCE!!」

間奏が流れてくる。今度はけたたましい爆音と共に。
窓から風が吹き荒れる。何かがおりてくるようだ。

エルム(はぁぁ・・・・。また『YF-29』で来たわね・・・・。)

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・。上から赤いMSが降りてきた。

――頭部は「二つの目とフェイスマスク」つまりガンダム顔である。
しかし角(アンテナ)はなく、後頭部に二本のポールアンテナが付いている。
バックパックは機体に対してかなり大きい。
胸部は何かが折れ曲がっているかのような形状をしていた。
股関節はむき出しで、脚部も独特の形状をしている。
とてもドートレスやジェニスから派生したMSとは思えない。――


エルム「こら!今日で23回目よ!!」

??「いいじゃん。僕どっこも被害被ってないよ。」

エルム「今日は留学生が来てるのよ!!!早くそれを邪魔になんないとこに置いて自己紹介しなさい!」

??「ハイハイ。」
少年はMSを屋上においたらしく、頭上からずしんと音がした。

エルム「アレさえなければ本当にいい子なのにね・・・。」

少年が入ってきた。
紫のタンガリーに明るい茶色のズボンに白いスニーカー。そして肩掛けのバック。
ごくごく普通の服装である。
しかし、髪の毛はガロードの毛よりももうちょっと明るい緑の外はねっ毛で、
男子と言うにはこの髪は多すぎるだろう。
おそらく、女物の服を着れば十分女性として通用するに違いない。

ユイ「おはよう、僕は「宮本 唯」。よろしく。」
ユイは手を差し出す。

ジュジュ「おはよう。私はジュジュ・ク・・・、F・ジーナス。
コレから一ヶ月間だけだけどよろしく御願いします。」
ジュジュも手を握り、握手をした。

ジュジュ「気持いい・・・。」

ユイ「どうした?そんなずっとにぎってちゃ僕も恥ずかしいよ。」

ジュジュ「ああ!ごめんなさい。」

ユイ「いいって。ジュジュの手って気持いいし。」

ジュジュ「そんな・・・。」
頬が淡く染まっていた。

ユイ「へへへ・・・。」
照れているユイに男子生徒の1人が耳打ちする。

男子生徒(おい、わかってるな?)

ユイ(・・・うん。)

授業終了を告げる鐘が鳴った。
ここの学校は塔の一番上に立てられた鐘をチャイムに使う。

エルム「じゃあ、今日の授業はここで終わり。
今日は午前日課だからこの後SHRをやってもう下校よ。」

ジュジュ「はい。先生。」

ユイ「ジュジュ、家教えてくれる?あとで遊びに行くよ。」

ジュジュ「ええ。プラトー教教会ポトマ支部に来てください。」

ユイ「わかった。だけど・・・、そんな丁寧語使わなくていいよ。」

ジュジュ「・・・わかったわ。」




ユイ「ポトマ学園初等部5-3男子不文律か・・・。」

E5-3では、男子達の取り決めにより、
「転入してきた女子に三日間は手出しをしない。」
という妙な不文律があった。
「男子が同時にアタックできるように。」との理由で作られたこの不文律は、
ジュジュが来た今日まで使われることはなかったが・・・。
























ユイはさっきジュジュと手を握った方の手を握りしめた。












第二章・中・其の三へ続く




次回予告
ユイはジュジュを「観光案内」の名目で連れ出す。
それを見つけたある男は・・・ジュジュに魔手をのばす。

次回 ガンダムX外伝
「不審者現る」(まんまやねん!!)