第二章・中其の二
前回のあらすじ
ガロード一行を連れ去ったおばさんことアーデンベルグ園長は
ガロード達に勉強を強制させた。
そこでジュジュは、1人の少年と出会う。
ジュジュ「あ″〜疲れた。」
エレベーターと校内循環バス、送迎バスがなければ、ジュジュは力つきていたところである。
彼女とガロード、ティファは「プラチナ十字」によって、プラトー教教会ポトマ支部に
居候になっていた。ちなみに、この教会は若い男僧が3人住み込んで経営しており、
教会にとなり付けるような感じの居住スペースがある。
食事は炊事担当の僧が行う。
僧「あ、お帰りなさいませジュジュ様。」
掃除担当の僧が迎えに来る。
ジュジュ「ただいまぁ。」
僧A「だいぶお疲れのようですね。今ティファ殿が食事を作っているようですよ。」
ジュジュ「へぇ〜、ティファもご飯作れるんだ。」
ジュジュ「ただいま。」
エプロンを付けたティファがお出迎えする。
ティファ「お帰りなさ・・・。」
バン!!奥から破裂音がした。
ジュジュ「まさか・・・卵を電子レンジに・・・。」
ティファ「どうしよう・・・。」
今度は焦げた臭いがしてきた。
ティファ「ああっ!!今度はオーブンが!!!」
中から出てきたのは丸焦げのアップルパイ。とても食える状態ではない。
電子レンジも黄身が散り、こびりついて無惨な状態になっている。
コンロの上にはガンダニュウム合金(fromガンダムW)をも溶かしそうな異様な色のカレーっぽい物。
まな板には殺人現場のごとき生々しい血痕が・・・。ティファの指も所々傷ついている。
煙の立ちこめるキッチン、中に真っ黒けのガロードがいた。おそらくスピリチアを半分ぐらい奪われたであろう。
ガロード「ティ・・・ティファ、大丈夫か・・・?」
ティファ「コレじゃ教会の人に怒られちゃう・・・くっ!!」
ティファが出血多量で真っ青になり、その場にひざまつく。
ガロード「お、おい、ティファ、ティファーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
俺を置いて逝くつもりか!!頼む、逝かないでくれえええええええ!!!!!!!」
ガロードはティファにすがりつき泣き叫ぶ。他人から見ればどう見てもオーバーリアクションだが、
ガロードは心の底から泣き叫んでいたに違いない。
ジュジュ「うっさい!!今呪文かけるから。」
ジュジュは絶叫するガロードをけっ飛ばして聖書を取り出す。
ジュジュ「主よ、神々し御光に寄りてこの者の苦しみさらんことを!!」
ジュジュが光に包まれた手をかざした途端、ティファの手の禍々しい切傷がすぅーーと消えていった。
ティファ「有り難う、ジュジュちゃん。」
ガロード「ティファアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
ティファに飛びつくガロード。なんのことだか分からなかったが、ガロードに飛びつかれるのは嫌ではないので
(むしろ凄く嬉しい)抱き留めてあげる。
ジュジュ「超々弩級(別名戦艦大和級)の愛妻家ね・・・。┐(-_-)┌」
偶然ジュジュの呪文を目撃した炊事担当僧が言う。
僧B「さすがプラトー教のルナーであらせられるジュジュ様で御座います。」
もちろんこの言葉に嘘偽りはない。
ジュジュ「ふふっ♪ こんなの朝飯前。」
ガロード「ちょっと待て。俺って泣き叫び損?」
ティファから離れたガロードが聞く。
ジュジュ「そう、泣き叫び損。」
ジュジュにオウムがえし(fromポケモン)をくらい、うっと来るガロード。
ガロード「・・・・・とにかく片づけようぜ・・・。いちお、味噌汁だけは出来たことだし。げほげほ。」
ジュジュ「アップルパイに味噌汁・・・。」
ティファ「とにかく、毒見・・・じゃなくて味見してみましょう。」
三人は協力して修羅場を片づけ、テーブルに座る。
三人「いただきま〜・・・」
ユイ「おじゃましまーす!」
今の一言でガロードは恐怖の一口を食い損ねた。
ジュジュ「あ、ユイ君が来た!」
ティファ「ユイ君って、ジュジュちゃんの彼氏なの?」
ジュジュ「違うわよぉ!」
ジュジュは玄関に駆けていく。
ユイ「こんにちわ、ジュジュ。」
ジュジュ「こんにちわ。きょうは紹介したい人がいるの。」
ジュジュはユイと共にダイニングルームへ向かう。
ティファ「まあ可愛い。」
ユイの容姿を見てついつい本音が出るティファ。
ティファ(私とガロードの子供、あんな子がいいな・・・。)
ティファに抱えられた子供にガロードがべろべろばぁ〜する光景を想像して、ティファは顔が真っ赤になった。
ユイ「大丈夫ですか?
ティファ「えっ?え、ええ。」
ガロード「へぇ〜。もうボーイフレンドか。」
ユイ「初めまして、ジュジュの父さん母さ・・・。」
ガロード「ちょっと待て!!俺達はそんな関係じゃない!!」
ティファ「私達まだ16です!!!」
2人は必死になって否定した。顔は真っ赤である。
ユイ「ご、ごめんなさい。」
ティファ「いいのよ。それよりコレの味見してみる?」
ユイ「この味噌汁は・・・。」
ティファ「私がたった今生まれて初めて作った料理よ。」
ユイ「何か怖いなぁ・・・。」
ティファ「・・・何か言った?」
ユイ「い、いえ別に。」
ティファ「それじゃみんなで、」
三人「いただきまーす。」
四人が食し、しばしの沈黙のあと・・・。
最初に言葉を発したのはガロードだった。
ガロード「う・・・。この濃厚でそしてサッパリでコクのあるまろやかでしっとりとしてそれでいて・・・。」
四人「げええ・・・。」
ティファ(何で私の声の人のやる役はみんなそろって料理が下手なのかしら・・・)
意識がとおのく中、ティファはそうつぶやいた。
四人はその場でぶっ倒れたのち小一時間気絶し、起きあがったときには1時を過ぎていた。
ユイ「そ、そうだ。ジュジュ、今日は君をこのポトマの近場に案内しようと思ったんだけど。」
ジュジュ「えっ本当?」
ユイ「じゃなきゃ、来ないって。」
ジュジュ「行っていい?」
ティファはユイの本当の目的を察知したのかくすっと笑う。
ガロード「5時半までには帰って来いよ。」
ジュジュ「うん。じゃ、ユイ君、いこっ!!」
ユイ「うん。まずはポトマ湖にでも行く?」
ジュジュ「何処でも。」
ティファ(ジュジュちゃんとのデート、よろしく御願いしますね。)
ユイ「・・・・(*-_-;*)。」
意気揚々としているユイにティファが耳打ちする。
ジュジュ「じゃ、行ってきます。」
ユイ「行ってきます。」
ガロード「・・・早いな。見てるこっちの方が恥ずかしいぜ。」
ティファ「・・・ええ。」
教会の庭にはあのMS(?)が
脚部の関節を逆にし、まるで鳥のような状態で置いてあった。
どうやらユイは移動の際は必ずこれを使うようである。
ジュジュ「これに乗るの?」
ユイ「大丈夫。コックピットは2人でも十分乗れるし。
こいつがあれば、隣のコロニーへもひとっ飛びだよ。」
ジュジュ「でも・・・。」
ユイ「ほら、乗ってよ。中は快適だからさ。」
ジュジュ「うん・・・。」
発進時の衝撃でお漏らしするかも知れないから乗りたくない」とはとても言えないジュジュであった。
コックピットは縦長で2人が乗るには十分のスペースがあった。
ジュジュも後ろに乗る。補助席のような物が付いていた。
ユイ「VF-29 generater started standyng by!!」
(VF-29ジェネレーター起動 発信準備完了。)
ジュジュ(凄い。民間人なのに・・・。)
ユイ「VF-29 Brust off ! !」
(VF-29 点火!!)
時速40km/hという割にはもの凄い早さで垂直に上昇、脚部が縮んで戦闘機型となる。
そして、赤い矢のように飛んでいった。
ジュジュ「きゃああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああ・・・・あれ?」
一瞬掛かった強烈なGが一瞬のうちに消えた。
ユイ「ガウォーク(鳥型)からファイター(戦闘機)への変形完了。改良型緩衝機構異常なしっと。」
ジュジュ「・・・助かった。」
ジュジュは太股をさすってみた。お漏らしはしていないようである。
ユイ「ごめん。やっぱり時速40km/hじゃ遅いと思ってね。ついこの間いじくった緩衝機構を試そうと思ったんだ。」
ジュジュ「何でそんなことが出来るの?」
ユイ「・・・秘密♪」
ジュジュ「軍関係とか?」
ユイ「パパの形見。」
ジュジュ「え?」
ユイ「ほら、着いたよ。」
途方に暮れるジュジュの眼下に広がるのは美しい森と大きな湖。
湖の底には宇宙の星達がうっすらと見える。
ユイ「近場って言ったけど、あんまり1人じゃ人が多いところは行かないから、
あんまり紹介できないんだ。」
ジュジュ「きれい・・・。」
地球じゃぜったいお目にかかれない星の沈む湖にジュジュは目をやる。
ユイ「遊園地もいいけど、たまにはこんな所もいいでしょ?魚は住めないから釣りは出来ないけど、
泳ぐことぐらいは出来るよ?」
ユイは草原に座る。ジュジュも隣に座った。
ジュジュ「ところで、さっきのはなし・・・。」
ユイ「ああ、僕のパパは元革命軍兵器開発主任で、ジェニスやセプテムとかの開発に参加してたんだ。
それでこの飛行機はパパが「コストが掛かりすぎる」って却下になった・・・ムー・・・何とかフレームだかを
使って僕のために作ってくれたんだ・・・。」
ジュジュ「怒られないの?それを乗り回して。」
ユイ「総領主様も了承済みだよ。こいつには武器もついてないし。」
ジュジュ「すごいね。」
そうこうしてるうちに5:00を告げる鐘が鳴った。
ちなみに、この鐘を鳴らしているのもポトマ学園の時計塔である。
ユイ「ジュジュ、そろそろ帰ろうか。」
ジュジュ「うん、そだね。」
YF−29は2人を乗せ、あっという間に飛んでいった。
と、草陰から若い男が出てくる。
彼はポトマ学園中等部の制服を着ていた。
双眼鏡を片手に持ち、口元はニヤついている。明らかに不審である。
??「ふふふふふふふふふふ・・・・・。カワイコちゃん・・・。
YF−29・TYPE−Rを使うのはまあ許せるが、あのカワイコちゃんヲ奪われるのは困るな・・・。
ポトマのカワイコちゃんは全て僕の物だよ・・・・・。」
いつの間にか手に入れていたジュジュの写真を手に持ち、
いつの間にか手に入れていたジュジュの戸籍のコピーを確かめ、
??「待ってろよ・・・すぐ僕がつれてってやるから・・・・。」
男は涎を垂らしそうになり手で拭ってこの場から去った。
次回予告
プラトー教教会でジュジュは自らに迫る危険を察知する。
危険に対処するため、ガロードとユイは協力して先手を打つのだった・・・。
次回、機動新世紀ガンダムX外伝
「THE夜這い」
見て下さい!!(違)