第二章・中其の三











前回のあらすじ

ユイとちょっとしたデートに出掛けたジュジュ。
しかし、その後ろには不審な影があった。



ジュジュ「あ〜疲れた。」

ユイ「いいの?僕を誘って。」

ジュジュ「いいのいいの。」

ユイとジュジュは星の湖で一睡したあと、例の可変MSで戻ってきた。
途端に三人の僧A,B,Cが出迎える。

僧A(炊事担当)「お帰りなさいませジュジュ様。」

僧B(清掃担当)「心配しておりましたよジュジュ様。」

僧C(雑用担当)「お体にケガはないですねジュジュ様。」

ユイ「・・・。」

圧倒されるユイ。

ジュジュ「Aはユイ君の分を含めた夕食の準備、B,Cは今からお祈りをするから祭壇の掃除と
道具一式の準備を御願い。」

僧A.B.C「かしこまりましたジュジュ様。」

3人の僧達がささっと行動を開始する。
ちなみに、様々な人種が集まったコロニーのように、宗教に熱心な人が少ないばあい、
プラトー教会は通常3人、住み込みで働いている。
教会は独自の通信技術があるらしく、戦中戦後とも何度か通信をしているようだ。
たびたび総本山(シュギ村)からの命令も来ており、

第7次宇宙戦争の際は、

「星墜としをあらゆる手段を使い阻止せよ。」

第8次宇宙戦争の際は、

「傷つきし者には全てに無償の救いを差し伸べよ。」

という命令が入っている。
そして2日前、新たな命令が届いた。

「もうすぐ白金の十字を持つ要人が天界にお見えになる。
見つけし者はその要人にを最大限に歓迎し、最大の援助をし、
要人を狙う輩あれば汝等の命に代えても死守せよ。
要人が傷つき、辱めらる事なれば、汝等死を以て償うべし。」

命令を下せるのは総本山の一部の幹部だけであり、
おそらく今回の命令を下したのはフロスト兄弟達であろう。


ユイ「凄いねジュジュ。」

ジュジュ「家の教会なんてA〜Tまでいたから。」

ユイ「うっそぉ〜。」

ジュジュ「くつろいでてね。私はいつものお祈りするから。」

ユイ「うん。」

居間。ティファとガロードがなにやら話をしている。

ユイ「どーしたの?」

ガロード「ああ、ジュジュのことだよ。どうだった?デート。」

ユイ「うう・・・だからアレは・・・」

ティファ「いいのよ。私達だけの秘密。」



ユイ「・・・・・気に入ってくれてたけど。」

ガロード「あいつ俺達と会ってからいきなり活動的になってな。」

ユイ「地球にいたときはどんなんだったの?」

ティファ「彼女はプラトー教の主司祭のご息女なのよ。」

ガロード「あんまり本音を人の前では言わない性格だったからなあ。」

ティファ「今まで諦めかけていた、『外に向かう想い』が爆発したのかしら。」

ガロード「ま、それはそれでいいことだけどさ。」

ユイ「てことは、ジュジュちゃんって箱入り娘?」

ティファ「その通りよ。」

ユイ「それじゃ、ジュジュちゃんをもっといろんな所につれてって楽しませてあげないと。」

ガロード「そうだその意気!!」

ユイ「止めてよ、僕が下心で言ってるようじゃないか!!」

ガロード「なにいってんだよ、恋愛は大抵下心から始まるんだぜ。」

ティファ「ガロードもそうなの?」

ティファが寄り添ってくる。ガロードは真っ赤になりながら

ガロード「え?お、お、おれはてぃふぁのことsんfsl;fんさfhbm・kfj・・・」

と返答に詰まる。

















一方礼拝堂では・・・。

蝋燭に灯をともし、所定の位置に二つの聖書を置く。
わざわざ持ってきたお祈りようの座布団の上に正座し、手を組み、目をつぶり、呪文を紡ぐ。

ジュジュ「我等が唯一の御神救世主プラトー、どうか今日の説教を、明日の聖なるご加護を・・・。」

蝋燭にともした炎がゆらゆらと揺れながら燃えさかり、十字架が光り出す。
ジュジュの頭の中に飛んでくる一匹の鳥。ジュジュには毎回、それが白鳥のように見える。
ジュジュの瞳が金色に輝き、頭に神とおぼしき言葉が響く。
もちろんこの間は全ての人を閉め出しているので、誰もこの光景を知らない。

声(ルナーよ、今すぐここから立ち退きなさい・・・・・。)

ジュジュ(え?どうゆう事でございますか?)

声(あなたに魔が忍びつつあります。性欲に疲れた愚かな獣が。)

ジュジュ(魔が・・・。)

声(早く退きなさい。あなたの体が蝕まれ取り返しのつかないことになりますよ。)

交信が・・・途絶えた。
ジュジュはガロード達に事の次第を説明した。

ガロード「・・・よーするに、今夜ジュジュ目当ての夜這いが来るって事だな?」

ティファ「そんな・・・。」

僧A「おお、そんなことされたら私達は幹部(=フロスト兄弟)に殺されてしまいます。」

ガロード(今のフロスト兄弟じゃやりかねんな・・・。)

ユイ「で、どうするの?ジュジュちゃん。」

ジュジュ「う〜ん・・・・、ユイ君、お願いがあるんだけど。」

ユイ「え?」

ジュジュ「今夜、泊めてくれない?」

僧A「な、なンと言うことを!!こんなここの馬の骨とも知れぬ物に・・・」

ジュジュ「なにいってんの、ユイ君は私のクラスメートで今のところ友達以上の関係。
馬の骨じゃないわよ。」

ユイ「分かった。僕の家は凄く広いからジュジュちゃんもちゃんと泊まれるよ。」

ジュジュ「うん、じゃあ早速お願い。」

といってリュックを背負い外へでていってしまった。すぐに轟音が聞こえた。

ガロード「でも、夜這いを出し抜くってだけなのも面白くないしなあ。」

ティファ「ガロード、まさか。」

ガロード「つまりこうゆう事だって。ごにょごにょごにょ・・・。」




















ジュジュ「凄い、ここがユイ君の家?」

ユイ「そう。今はママと二人暮らしだけど。」

二人がついたのは普通の家3件分ぐらいある豪邸とは言えないものの大きな家で、
壁をツタが貼っていて洋館風な建物となっている。周りも木が何本か生えていて、何処かここだけ違う土地のようだ。

ユイ「ただいまーーー。」

??「あらお帰りなさいユイ。心配してたのよ。」

といきなりユイを抱き寄せる。ユイの顔は真っ赤だ。

ユイ「ママ・・・恥ずかしいよ今日はお客さん来てるのに。」

ジュジュ「あ、あの・・・。」

??「あらお客さん、それもガールフレンドね、うれしいわ。」

といきなりジュジュをも抱き寄せる。
ジュジュはかすかな母の記憶を思い出し、目が潤む。

ジュジュ「ま・・・ま・・・・・」
つい手に力が入ってしまった。

ユイ「もうママッたら。今日は教会に変なの・・・じゃなくて今日は教会が凶方らしいから泊まってくって。」

??「あらまあ。そんな泊まってくだけじゃなくて一緒に住めばいいのに。
もう5年ぐらい二人っきりで寂しかったのよ。」

ジュジュ「そ、その・・・。」
すでに真っ赤である。

ユイ「そんなこと言ってないで早くジュジュちゃん用のベッドの用意してきてよぉ・・・。」

??「あら、「今日はジュジュちゃんが寂しそうだから一緒に寝てやる!!」じゃないの?
すでに顔は真っ赤を通り越して蒼白である。特にジュジュは言葉に気圧され今にも倒れそうだ。

??「なんてじょーだん。ベッドメイキングとお風呂の準備してくるから
ジュジュちゃんと一緒にリビングでマクロス7でも見てなさいな。」

ユイ「まあ、ママはこーゆー人なんだ。名前はネル。」

ジュジュ「う、うん・・・。」













バサラ「俺の歌を聴けえ!!
♪さあ始まるぜ saturday night 調子はどうだい
let's stand up ビートを感じるかい・・・」

熱気バサラの乗るバルキリー「VF−19改 ファイヤーバルキリー」が、敵味方構わず
スピーカーポッド(スピーカー搭載の弾)を撃ち込んでいく。
敵の乗る「エルガー・ゾルン」からのマイクロミサイル攻撃をよけ、
更にその機体にスピーカーポッドを撃ち込む。

ギギル「ぐうう!!この異常スピリチアめ!!」
ギギルの機体がバサラのスピリチア(一種の生体エネルギー)を吸い取るため攻撃を仕掛ける。
が、バサラのバルキリーはそれをいとも簡単によけた。

ガムリン「バサラァ!!歌で戦いを終わらせることが出来ると思っているのか!!」
黒いバルキリー「VF−17 ナイトメア」のパイロット、ガムリン木崎がバサラの機体に向かい叫ぶ。
だがその声をも無視して戦闘中バサラは歌い続けた。










ユイ「ふう、おわった。」

ジュジュ「なんかからだが温かくなるような歌だったわ。でも・・・。」

ユイ「でも?」

ジュジュ「ず〜〜っと歌ってるだけなんて変な主人公ね。バサラって。」

ユイ「そこがバサラの良いところだよ。武器を使うことは絶対にいけないと思ってて、
『歌による平和の実現』ってのを心から信じてるんだ。凄いと思うなぁ。」

ジュジュ「ふ〜ん・・・。」

ユイ「人間がみんなバサラみたいに考えていたなら、あんな事、おこんなかったのに・・・・・。」
顔がうつむき加減になる。

ユイ「パパ・・・・・。」

ジュジュ「戦争で、戦死したの?」

ユイ「うん。アストラーザ級にのってたんだけど、「赤いガンダム」にやられたって・・・。」

ジュジュ「泣かないでよ、こんなところで・・・。
私だってお母さんいないんだから・・・泣きたくなっちゃうよ。」

ユイ「うん・・・。ごめんね。」
ユイはそこら辺にあったティッシュボックスから何枚かティッシュを取り出し涙を拭いた。



ネル「お風呂が沸いたけどどうする〜?」

ユイ「一番風呂だからジュジュちゃんは入りなよ。覗いたりしないからさ。」

ジュジュ「のぞかないのは当たり前でしょ。じゃ、いってくるね。」













そのころ教会では。

ティファ「(’〇゜)・・・。」

ガロード「へへっ。絶対に曲者を捕まえてみせるぜ。」











そして夜の10時。宮本邸では二人が眠りにつく。
宮本邸は元々旅館で、個室が10部屋有るのだが、いまはネルとユイ、そしてジュジュの3人しか使っていない。

ジュジュ「楽しい留学になりそう・・・。」
ジュジュは今日を楽しめたことを感謝する祈りを軽く捧げ、目を閉じた。

ユイ「これから楽しくなりそうだなぁ。明日はジュジュちゃんと一緒に登校しよっと。」
ユイは明日の決意を口にしつつ今日に別れを告げる。


















教会のジュジュの部屋の前では若い僧が3人、メイスを持ち鎧を着込んで待機していた。

ガロード「いよいよだ・・・。」






























真夜中の12時。全てのコロニーは地球のグリニッジ天文台の時制に会わせてある為、
この時間帯は宇宙は非常に静かになる。
戦時中は絶えず戦艦が行き来していたが、新連邦と停戦条約を結んだ今はそれもない。
ポトマ自治国コロニーも同じであり、採光ミラーは閉じコロニー内は街灯を除き真っ暗になる。


その中を教会向けて忍び歩く1人の影。

??「ふふふふふ。今日はジュジュ・F・ジーナスの○○(放送禁止用語)を奪うんだ。
しかしあの旧連邦軍の伝説のパイロット「マクシミリアン・ジーナス」と同姓とはね。
マクシミリアンは100年以上前の人だから「血を受け継いでる」なんてことはなさそうだけど。










??(プラトー教会ポトマ支部・・・。ここだな。ふつう部屋には窓があるはずだから・・・。)

抜き足差し足忍び足で教会の周りを探す。一つだけ窓が開いていた。
普通ならどう考えても怪しいが、すでに「取らぬジュジュの皮算用」と化していた彼にはそこまで思考が回らなかった。
こっそりと彼は窓を覗く。「ジュジュ」が軽く寝息を立てて寝ている。
部屋は当然ながら暗く、「ジュジュ」の髪の毛が黒いことには気付かなかった。

??(いただきまーす。)

ジュジュ

「何を頂くのかしら?」

少女にしては低すぎる声が答える。そして彼を壁へけっ飛ばし、立ち上がった。 ジュジュ「俺様みたいな可憐な美少女の部屋に忍び込むなんて失礼しちまうぜ!!」 僧A「曲者〜!!!」 僧B「曲者〜!!!」 僧C「曲者〜!!!」 同時に僧が部屋に飛び込み、彼を組み伏せる。 「ジュジュ」はカツラを外し仁王立ちする。ティファが部屋の明かりをつけ、彼の顔が晒された。 ジュジュ「・・・いわゆる、ホールドアップって奴?」 ティファ「ガロード・・・すごいわ。」 ガロード「へへっ。俺が1人だった頃は、これぐらいずる賢くないと生きていけなかったんだ。 それに、13歳ぐらいの時どっかの村の警察に雇われたこともあったしな。」 ティファ「・・・カリス?」 そう、晒された彼の顔は、 幾分幼いがあの世界を変えるために「人工ニュータイプ」になった「カリス・ノーティラス」そっくりの 金髪で端整な顔立ちな少年だった。 ??「お前等・・・。僕の邪魔をするな!」 ガロード「あぁ!?こんな卑怯なやり方でジュジュを自分の者にしようなんて 馬鹿な考えを持ってたお前が悪いにきまってんだろ!!」 ガロードが激昂した。 ティファ「そんなことすると、ジュジュちゃんに逆に嫌われてしまいます・・・。」 ティファもやんわりと諭す。 ??「うるさいうるさいうるさい!!!」 突然逆ギレした彼は僧の1人をけっ飛ばし、窓を飛び越え逃げてしまった。 僧A「まて!!」 ガロード「待てって言われて待つ奴がいたらそれは相当のお人好しだぜ・・・。 それに心配するな。雇われてた時にもらった小型の発信器をつけといた。あんた等の教会の 通信施設で見れるはずだぜ。」 ティファ「彼の特徴を描いておいたわ、ガロード。」 ティファは彼の外見を描いた紙を持っていた。 ガロード「サンキュ。」 ガロードは紙を受け取り、ティファの頬にキスする。ティファの顔が染まった。 ティファ「・・・さて、皆さんもうお休みしましょう・・・。」 そう言い終えた途端、ティファはその場に倒れた。ガロードが寝室まで運び込む。 こうして教会の一夜は過ぎた。 翌日。 ティファ「二人ともおはよう。」 ユイ「本当に夜這いが来たなんて・・・。」 ジュジュ「神様の御言葉はいままではずれたこと無いけど・・・どうしよう。」 ガロード「だいじょうぶ。教会の半径200m以内なら発信器が反応するから。」 4人はまちあわせたあと、学校に向かって歩いていった。 そして、一日が今日も始まる。 次回予告。 学校を普通に過ごす4人。その前にあの機体が降り立った。 次回、起動新世紀ガンダムX外伝 第2章・下:「青い人」