■ はじめに  2011年3月11日の地震直後に起きた福島第一原発の爆発により膨大な量の放射能(放射線を出す能力の ある物質)が撒き散らされた。その直後から各地の放射線量に一般の人たちも興味を持つようになり、 個人で放射線測定器を購入して毎日計測している人も大勢いる。  飯山北高校の生徒(桂蔭班)は、2008年から2009年にかけて県下3000地点の様々な状態の放射線量を測 定しその考察結果をいくつかの場で公表した。ここに公表するのは原発爆発前の2年前における長野県内 のなにも補正を加えない自然界放射線量である。 ■ 測定方法  測定に用いたのは放射線計測協会の簡易放射線計測器「はかるくん」である。「はかるくん」はヨウ化 セシウム・シンチレータを使った放射線計測器であり、測定できる放射線の種類はガンマ線である。 従って、今後、本文に出てくる「放射線」という言葉はガンマ線のことを指す。  車の助手席に計測器を乗せ、時速40〜60 km/hで連続測定をした。場所によっては車外でも測定した。 自動車による連続測定では、助手席は地表から約40cmの高さで、車外で測定した場合に比べやや値が下が る。これは車の底の鉄板が遮蔽効果を持つからだと考えられる。ただし、今回の移動調査では条件は同じ なので相対的な強さを反映すると考えて良い。また、「はかるくん」は放射線量が10秒毎に計測され、前 の50秒との平均値が計測値として示されるので、1分間で新しい値と入れ替わる。これは放射線量・風速 ・気温の測定など、瞬間的な値のばらつきが大きいものではよく使われる方法である。1分間で車は約 1km進むので測定器に表れる数値は観測地点の前1km間の平均値ということになる。測定場所は後で測定 基点を同定できるように目印のある場所や信号設置地点とした。 ■ 値についての注釈  @ 自然界放射線量の単位について・・・ (×1/1000 μSv/h)   たとえば 32 と表されていたら 0.032(μSv/h)(マイクロシーベルト毎時)  A 長野県の原発爆発前の平均は 0.038(μSv/h)であった。原発爆発直後の長野市の放射線量は新聞   などの報道によると、それ以前に比べて5〜10倍多かった。その後減少傾向にある。  B 放射線量は季節や一日の間でも変化することがある。  C 平地よりも山の際では値が大きくなる。これは岩石が放射線を放射するからである。  D 橋の上では小さい。トンネルの中は大きい。これも岩石が放射線を放射するからである。  E 周囲に花崗岩や流紋岩などの酸性岩(たとえ石垣でも)が分布していると値が大きくなる。 ■ 結果 北信地方 東信地方 中信地方 南信地方  県内市町村はおおよそ北から南方向に配列してあるが、各市町村内では方向性のないものがある。 市町村名は敢えて旧市町村名の所がある。 長野県放射線量マップ 長野県に分布する岩石から出る放射線量の特徴
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